研究課題/領域番号 |
19K21472
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補助金の研究課題番号 |
18H06393 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
村瀬 壮彦 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (40823315)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 受傷時期推定 / Chitinase-like 1 / 免疫組織化学 / 損傷皮膚 / ヒト / Chitinase like-1 |
研究開始時の研究の概要 |
児童・老人虐待や家庭内暴力の発生件数は増加傾向にあり、これらが疑われる法医剖検数も増加している。このような事例ではある程度の期間に渡って暴行されることが多く、新旧混在する損傷を科学的に証明する必要がある。しかし、成傷からの時間を客観的かつ科学的に診断する検査法は未だ確立されておらず、その確立は法医病理学分野における急務である。 これまでの研究において、Chitinase-like 1とChitinase-like 3というタンパク質が受傷後1-3日の損傷を診断可能なマーカーになりうることを明らかにしており、本研究はこの両者の発現動態を指標として、ヒト損傷皮膚の受傷時期診断法を確立する。
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研究成果の概要 |
科学的・客観的な受傷時期診断法の確立のために、ヒト損傷皮膚におけるChitinase-like 1(CHIL1)蛋白質発現の検討を行った。 CHIL1は主に炎症及び治癒反応のために浸潤したマクロファージに発現しており、受傷時期と全細胞あたりのCHIL1陽性率の関係として、受傷0-1日後ではほぼ発現を認めず(平均値:0.1%)、受傷2-3日後では陽性細胞が出現し(1.0%)、受傷4-6日後で陽性率は最大となり(5.6%)、受傷7日後以降で減少した(1.3%)。 受傷4-6日後の群で他群と比較して有意に陽性率が増加しており、CHIL1発現の評価によって、受傷後4-6日の損傷が検出できると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、乳幼児・小児のみならず成人や高齢者に対する虐待件数が増加しており、虐待死が疑われる法医剖検数も同様に増加している。このような事例では長期の暴力作用を証明し、かつ被疑者の供述の信憑性を判断するために、個々の損傷についてその受傷時期を明確に提示することが司法現場から求められる。しかし受傷後のある特定の期日を科学的に診断する方法は未だに確立されておらず、受傷後の特異的な期日に発現する診断マーカーを同定・確立することが法医病理学分野において希求されている。 本研究によって受傷4-6日後の損傷を科学的に検出することが可能となり、虐待死事案等におけるより信頼性の高い法医鑑定に繋がることが期待される。
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