研究課題/領域番号 |
19K21583
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
超高齢社会研究
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
南 雅代 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 教授 (90324392)
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研究分担者 |
加藤 丈典 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (90293688)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2019年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 火葬骨 / バイオアパタイト / 分解 / 化学反応 / コンクリーション / 結晶性 / 炭素同位体比 / ストロンチウム同位体比 / アパタイト / 手法開発 / 手法 / 開発 |
研究開始時の研究の概要 |
日本は舎利信仰が深く、火葬後の収骨儀礼も敬いの念があり、世界的にも亡骸を深く尊重する国であると言える。一方で、すべての遺骨が永続的に崇め祀られることはなく、弔い手のいなくなった放置遺骨が増えつつある。超高齢化社会になり、その数はさらに増え、社会問題になる可能性もある。まさに今、葬儀・埋葬様式を変えていかなければいけない過渡期にある。本研究においては、日本の埋葬文化を尊重しながら、新たな埋葬方式を導入することを目指す。つまり、①火葬骨を、急激にではなく、自然の土壌中の分解に似せて徐々に分解する手法、かつ、②普通に手に入る毒性のない化学試薬・反応を用いて環境に優しい手法、を確立する。
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研究成果の概要 |
土葬された遺体は、土壌中で次第に分解されて土に還っていくが、火葬された骨は土壌中で分解しにくく、土に還りにくい。本研究では、このような火葬骨を、化学薬品を使って急激に溶解するのではなく、埋葬後、数年~数十年をかけて自然に徐々に分解されるような過程を見出すことを目的とした。現生の骨片を用いた実験から、比較的低温(<750℃)で加熱された骨は分解しやすいこと、骨への元素の取り込みが起こりやすいことを明らかにした。また、火葬骨の長期間の分解過程の様子を調べるために、いくつかの遺跡出土人骨の分析を行い、火葬骨と接する水、土壌の存在が、骨の続成・変質過程を促進し、分解しやすくすることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在、日本ではほぼ100%に近い率で火葬された遺骨が墓に埋葬されている。日本は舎利信仰が深く、火葬後の収骨儀礼も敬いの念がある。一方で、すべての遺骨が永続的に崇め祀られることはなく、弔い手のいなくなった放置遺骨が増えつつあるのも事実である。本研究は、火葬時の加熱温度を少し下げるとともに、火葬骨を納める骨壷に穴を開け、雨水が入り込み、かつ、わずかずつ排水されるようにしておくことで、火葬骨が分解されやすくなることを、現生骨、及び遺跡から出土した考古人骨の分析から提案したものである。これは、化学薬品や特別な器具を使用せず、自然に火葬骨を土に還す手法を提案したもので、社会的に意義がある。
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