研究課題/領域番号 |
19K21589
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
超高齢社会研究
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
栗原 幸男 高知大学, 医学部, 特任教授 (00215071)
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研究分担者 |
北岡 裕章 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (10274375)
片岡 浩巳 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (80398049)
兵頭 勇己 高知大学, 教育研究部医療学系連携医学部門, 助教 (50821964)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 高齢者医療 / 急性循環器疾患 / 生活習慣病 / 臨床判断基準 / 病態推移 / 医療データ利活用 / 臨床判断閾値 / 機械学習 / 医療情報利活用 / 機会学習 / 診療支援 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者医療での臨床医の臨床判断支援を目的とする研究である。 具体的な研究目標は、高齢者の慢性疾患(糖尿病、高血圧症、高脂血症、心臓病等)に対する医療介入のタイミングの目安となる臨床判断閾値を高齢者個々の生活・医療背景を反映して推定できる機械学習モデルを作成し、臨床医が治療計画を立て易い情報提供を行うことである。
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研究実績の概要 |
本研究では、糖尿病、高血圧症および高脂血症の生活習慣病を1つ以上持つ高齢者の病態追跡により急性循環器疾患(心筋梗塞、脳卒中等)の発症予測を可能とする臨床判断閾値を見出すことを目指している。急性循環器疾患発症の主要因子の1つは動脈硬化であるが、動脈硬化の進行状況を正確に測定することは困難である。そこで、本年度は、高知大学病院の医療データを活用して、動脈硬化の促進に繋がる病態悪化の状況を時系列で把握することで、急性循環器疾患の発症を予測する可能性を検討した。 病態の悪化の指標としては、まず本研究の中心となっている3つの生活習慣病の発症である。本研究では生活習慣病の診断が1つ以上ある症例を対象としているが、時間経過と共に生活習慣病の診断数が増えれば、より動脈硬化が起き易くなっていると考え、診断された生活習慣病の数を病態悪化指標の1つとした。また、腎臓や肝臓の働きが鈍ると血液浄化機能が落ち、動脈硬化が起き易くなるので、慢性腎炎と慢性肝炎の診断に着目した。さらに、動脈硬化がある程度進むと冠動脈の血流が一次的に止まる狭心症が発症する。そこで、動脈硬化に関連するリスク疾患として慢性腎炎、慢性肝炎および狭心症の診断数をもう一つの病態悪化指標とした。生活習慣病診断数と関連リスク疾患診断数を合わせた数を総病態悪化指数として、3つの指標を最初の生活習慣病診断から最初の急性循環器疾患診断まで追跡することとした。 最初の生活習慣病診断から最初の急性循環器疾患診断までの年数毎にグループ化して、平均の生活習慣病診断数、関連リスク疾患診断数および総病態悪化指数を算出した結果、早く急性循環器疾患が発症する群ほど、早くそれぞれの平均値が増加することが見出された。特に、急性循環器疾患発症の1年前に急に増加する傾向が見られた。見出された病態悪化指標の変化が急性循環器疾患発症予測に利用可能か見極めることが課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響に加え、急性循環器疾患(心筋梗塞、脳卒中等)の発症予測モデル構築において、当初の研究計画で考慮していた事項以外の検討事項が増えたことにより、全体として進捗が遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究により、急性循環器疾患発症の主因の1つである動脈硬化の悪化に繋がる疾病診断数の増加が急性循環器疾患発症症例で多く見られることが分かったので、この病態悪化指標を従来から分かっている急性循環器疾患発症リスク指標に加味することにより、急性循環器疾患発症予測の精度を高めることができるか高知大学病院の医療データを用いて分析を進める。
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