研究課題/領域番号 |
19K21592
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
超高齢社会研究
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研究機関 | 一般財団法人生産開発科学研究所 (2021) 京都大学 (2019) |
研究代表者 |
植田 弘師 一般財団法人生産開発科学研究所, その他部局等, 研究員 (00145674)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2019年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 線維筋痛症 / 免疫細胞治療 / サイトカイン / DAMPs / PLA2G3 / ミクログリア / AcGP / 慢性疼痛 / フィードフォワード / 免疫細胞 / 痛みメモリー |
研究開始時の研究の概要 |
線維筋痛症患者を代表とする全身性慢性疼痛は診断も治療法も確立していない。抗てんかん薬や抗うつ薬の一部が承認されているがその副作用のために長期使用が患者のADLに悪影響を及ぼしている。本研究者は根治療法につながる鍵分子リゾホスファチジン酸機構の中枢における役割、すなわち慢性疼痛におけるメモリー機構を担うことを解明してきた。近年これに加えて痛みメモリーを維持・強化する免疫機構などの存在を明らかにしている。昨今の生物医薬が重要な医療革命を引き起こしているが、国民経済的には大きな課題となっている。本研究では痛みメモリー強化に関わる責任分子のDNAワクチン治療の可能性を目指した基礎研究を計画している。
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研究成果の概要 |
FM様AcGPモデルマウスでは性腺摘出手術により雄のみ疼痛過敏が消失した。雄のみ脳内ミクログリア活性化が慢性疼痛に関与した。FM様IPGPモデルの視床下部はLPA産生酵素PLA2G3遺伝子発現上昇を示した。AcGPマウスの脾臓細胞注射は雄雌ともに疼痛過敏を示すが、雄のみミクログリア阻害剤の脳内投与により疼痛消失させた。特定のサイトカインの組み換え遺伝子の筋肉内遺伝子導入によるDNAワクチンはAcGPを抑制した。以上、疼痛メモリーは雄では脳から脾臓に、雌では脳のミクログリア活性化を介さない機構で脾臓に情報伝達する可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年抗体医薬を中心とした生物学製剤が疾患治療に劇的な効果を有する事が報告され、数多く臨床開発されているが医療保険制度の破綻に対する危惧もあり、生産コストの低減が期待できる遺伝子ワクチン開発への期待が高まりつつある。本研究は難治性の線維筋痛症モデルについてワクチン療法という挑戦的萌芽研究を試み、特定のサイトカインについて有意な治療効果を見いだすことに成功した。この発見は線維筋痛症に限らず多くの慢性疾患に対する重要な可能性を示すこととなった。
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