研究課題/領域番号 |
19K21593
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
超高齢社会研究
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
飯島 香奈絵 (安藤香奈絵) 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (40632500)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 老化 / 糖代謝 / 脳 / グルコーストランスポーター / ショウジョウバエ / カロリー制限 / 神経変性疾患 / 脳高次機能 / aging / brain / glucose / mitochondria / glycolysis / Drosophila / dietary restriction / memory / 学習・記憶 |
研究開始時の研究の概要 |
目的1. これまでにグルコーストランスポーター (Glut) の過剰発現で加齢による神経細胞内ATP減少を抑制できることを見出した。LC-MS/MSによる網羅的メタボローム解析により、加齢に伴って低下しさらにGlutの過剰発現でその低下が抑制される代謝物を同定する。 目的2. パブロフ型匂い忌避条件付けによりGlutを脳神経細胞に過剰発現したショウジョウバエでの加齢による記憶力の変化を調べる。 目的3. 記憶能力の加齢に伴う変化を通常の餌で飼育した個体と低栄養餌で飼育した個体で、パブロフ型匂い忌避条件付けによる記憶形成を若齢・老齢で調べ、比較する。
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研究成果の概要 |
脳の高次機能は加齢により低下するが、そのメカニズムはよくわかっていない。加齢に伴い栄養代謝は変化する。本課題では、脳神経細胞での代謝変化の老化との関連を、ショウジョウバエを用いて調べた。すると、加齢に伴い脳神経細胞で細胞内エネルギーATPが減少することがわかった。神経細胞への糖取り込みを遺伝学的に増加させるとATP減少は抑制でき、これらの個体では脳機能が維持され、寿命が延伸していた。神経細胞での糖取り込み促進とカロリー制限を組み合わせると、さらなる寿命の延伸が起きた。これらより、脳での糖代謝促進によって、健康寿命が延伸できる可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究から、老化した神経細胞でATPが低下することが加齢に伴う身体機能低下に関わることが示唆された。神経細胞のみでグルコース取り込みを促進すると、神経細胞内ATPを維持し、身体機能低下を抑制することができた。また食餌制限との組み合わせにより、さらに寿命を延伸したことから、神経細胞の糖代謝促進は、摂取カロリーなどライフスタイルの改善と相乗的に抗老化効果を発揮する可能性がある。今後ヒトへの応用を考えたとき、神経細胞特異的にグルコース取り込みを促進する戦略の開発が課題となる。神経細胞に特異的なグルコーストランスポーターの制御機構を標的とするなど、その戦略を検討することで、抗脳老化創薬に結びつけたい。
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