研究課題/領域番号 |
19K21606
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 貴之 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20434607)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 精神医学の哲学 / 心の哲学 / 精神医学 / 自然主義 / パーソナリティ障害 / 科学哲学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、1.精神医学全般の理論的基礎に関する問題(精神疾患の定義、正常と異常の線引き、精神疾患の分類法など)、2.精神医学の代表的な理論や手法(精神療法、認知療法、ナラディヴ・アプローチなど)の理論的基礎の批判的検討、3.個々の精神疾患に特有の理論的問題(パーソナリティ障害における社会的問題と医学的問題の線引き問題など)の検討、という3つの問題領域を考察する。研究の最終的な成果としては、精神医学の理論的基礎をめぐる哲学的な問題について、哲学および精神医学のどちらを専門とする読者にも理解可能な、精神医学の哲学に関する教科書または概説書を執筆することを目指す。
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研究成果の概要 |
分析哲学、とくに心の哲学の概念や理論に依拠した分析を通じて、現在の精神医学にはいくつかの根本的な理論的問題があることが明らかになった。第一に、現在の精神医学には生物学的なものから社会的なものまで、さまざまなアプローチが混在するが、それらの関係は明らかではない。第二に、精神医学においては医学的問題と道徳的問題の境界がしばしば問題となるが、その線引きの基準も明らかではない。第三に、さまざまな精神疾患はどのように分類されるべきか、その分類基準はどのようなものであるべきかも明らかではない。これらいずれの問題に関しても、臨床的な有用性が最終的な基準であるのかどうかについて、さらなる検討が必要である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
精神疾患患者は年々増加しており、精神医学の社会的重要性は高まっている。しかし、精神医学には多様な方法論が併存しており、身体医学と比較して、その理論的基礎は未確立である。本研究は、精神医学の理論的基礎には具体的にどのような問題が存在するかを明らかにしたことを通じて、精神医学の理論的基礎の確立に貢献すると考えられる。また、本研究を通じて、精神医学にはさまざまな形で価値に関する考慮やプラグマティックな考慮が重要な役割を果たしていることが明らかになったが、これは精神医学の臨床実践においても重要な知見だと考えられる。
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