研究課題/領域番号 |
19K21612
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
野尻 英一 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 准教授 (30308233)
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研究分担者 |
三重野 清顕 東洋大学, 文学部, 教授 (70714533)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 自閉症スペクトラム障害 / 構想力 / 社会性 / 想像界 / 障害学 / ヘーゲル / ラカン / デリダ / 精神病理学 / ジジェク / 自閉症学超会議! / ヘーゲルと精神分析 / 哲学 / ドゥルーズ / 自閉症 / 社会的コミュニケーション能力 / 記憶 / 病理学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近年自然科学分野において研究が進み、社会的にも関心が高まるASD(自閉症スペクトラム障害)の病理学が急速に明らかにしつつある人間の知覚、想像力、記憶についての知見を、伝統的な哲学研究における概念や理論と突き合わせることで、学際的な相互作用による新しい総合人間科学分野形成のための基盤構築を目指すものである。 特にASDが示す知覚、記憶、想像力の特異性と社会的コミュニケーション能力の障害特性に注目し、その知見の上に、古典哲学および現代思想分野における「構想力」概念を軸とした人間精神についての理論的把握の再構成を体系的に行なうことを目的とする。
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研究成果の概要 |
ASDの病理学知見を用いた哲学的構想力概念の再構築を主題に11回の研究会を開催し、分野を横断しての活発な知見の交換と議論を行った。一般公開イベント「自閉症学超会議!」、学会共催イベント「精神分析と哲学の悩ましい関係パネルディスカッション」、「ヘーゲルと精神分析シンポジウム」を主催/共催し、学術分野における連携、一般社会へのアウトリーチ活動を展開した。野尻英一・高瀬堅吉による哲学と心理学の学際論文(https://psyarxiv.com/h69cp)が執筆された。他にプロジェクトメンバーによる業績は論文53本(査読付22本)、学会発表60件(招待講演25件、国際学会12件)、図書19冊に上る。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究プロジェクトは、人文社会科学系の研究者がASDを中心に発達障害という現象を哲学研究と接続する可能性、および哲学者が語学や専門性による分断状況を超えて、共通の話題のもとに新しい人間知の形成のために協力する可能性の実現を試みた。哲学分野において「構想力」という概念のもとに関係づけられてきた記憶と想像力について新たな学際的研究の端緒を開き、若手育成の場を実現し、社学連携への展開も行った。萌芽段階にあった学術課題への気づきを育て学界および社会に拡散していくという目標を、四年間にわたる活発な研究会活動、論文出版、学会発表、書籍出版、学術イベントの開催により、申請時の設定を大きく超えて達成した。
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