研究課題/領域番号 |
19K21616
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
山田 良 札幌市立大学, デザイン学部, 教授 (00452988)
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研究分担者 |
定廣 和香子 札幌市立大学, 看護学部, 教授 (60299899)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | Hospital Art / 国際協奏 / Desing and Nursing / Norway / Nursing Home / アートインホスピタル / インスタレーション / 北欧 / Art in Hospital / Action Research / デザイン看護学 / Caring Effect / Derivery System / art in hospital / 空間インスタレーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、空間的療養効果を重視した病院アートモデル(フィンランドver.)を開発し、フィンランド国内に展開する過程を分析し、日本国内に病院アートが普及する要件を導くことである。北海道内で実施した空間芸術作品によるデリバリー式プロジェクトをフィンランド国内に応用し、その比較検討を通して、日本において空間芸術による療養効果の高い病院アートを普及するための課題を明らかにする。また、将来的には、本構想をノルウェー、ロシアなどの北方圏諸国に展開し、北方圏病院アート ネットワークを形成する。また、アートやデザインにより人々の健康の回復・維持・向上を支援するデザイン看護学領域の創出をめざす。
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研究実績の概要 |
COVID-19パンデミックによる海外渡航制限が継続されたため、研究計画の見直しが必要となった。加えて、2022年2月ロシアのウクライナへの軍事侵攻が生じ、2022年8月時点で継続、深刻化していたため、ロシアと国境が隣接するフィンランドでの展開を見合わせることとした。その結果、研究代表者(山田)と学術交流のあるノルウェーをフィールド候補とする方針とし、ホスピタル・アートの対象をナーシング・ホームに拡大した。そのため、8月に研究分担者(定廣)がOsloを訪問し、コアモデルアートの設営に協力可能な現地の病院、ナーシング・ホームの探索、関係者と打ち合わせ等を行なった。具体的には、元Akershus 大学病院アートディレクター(看護師)のMarie Sleveland氏の協力のもとDiakonhjement Careグループの責任者Helle Dorthea Gjetang氏,研究コーディネーターBenedicte Srensen Strom氏らと研究協力依頼に向けた打ち合わせを行った。帰国後、遠隔での打ち合わせを重ね、ホスピタル・アートの受け入れ施設候補として、Diakonhjement CareグループのNordberghjemmetより受け入れ可能の回答を得た。2023年5月現在、時期、環境条件等の詳細打ち合わせに向けて、研究分担者が6月に再訪する予定で準備を進めている。これらの作業が順調に進めば、2023年秋の実施、その後の質問紙調査が可能となる見込みである。なお、ナーシング・ホームの居住者や家族に対するアンケート調査に必要なノルウェーの倫理審査機関Norwegian Agency for Shared Services in Education and Research:Siktのリンクや方法も確認した。ノルウェー語の質問紙の完成後登録予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Covid-19パンデミックによる世界各国のロックダウンなどにより、2019年度から2021年度は、当初予定していた海外(フィンランド)でのフィールドワークが困難となり、計画を一時中止した。2022年度前期には、Covid-19パンデミックの収束の見通しが立ちつつあったため、計画の再開を検討した。しかし、2022年2月にロシアがウクライナへに軍事侵攻したことにより、北欧諸国とロシアとの緊張状態が高まっていた。特にロシアと国境を接しているフィンランドは、NATO加盟の手続きを進める意向を示したことにより、ロシアとの関係がさらに悪化する可能性が高くなった。これらの国際情勢を踏まえ、フィンランドによる研究遂行を延期し、初動フィールドをノルウェーに変更することに決定した。また、本研究は、医療施設を対象としていたため、感染防止対策の観点から受け入れ施設の依頼決定のプロセスを進めることにも困難を極めた。これらの理由により当初予定していた研究計画が大幅に遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
Norwayにフィールドを変更したのちも、我が国のCovid-19の指定感染症の分類変更が2023年5月までとなったため、アート制作に必要な現地視察を大幅に延期せざるを得ない状況であった。2023年6月には、分担研究者定廣が現地(Oslo)打ち合わせを行い、基本情報を収集することは決定している。また、この結果を受けて、代表者(山田)がアートをデザインするための現地視察及び制作・運搬方法の検討を現地で行う予定で準備を進めている。当初計画では、初年度にコアモデルアートを展開したのちに対象国内(当初予定はフィンランド、現在はノルウェーに変更)の病院、ナーシングホームにデリバリー型アートのニード調査を行う予定であったが、2023年度内には、順調に進めた場合でもコアモデルアートの制作及び評価までの実施となる可能性が高い。引き続き、外部資金を獲得し、来年度以降も研究を継続を試みる予定である。国外の保健医療システム下でのデリバリー型のホスピタルアートの可能性を検討しつつ、保健医療政策の影響や文化的背景の相違について我が国における実践事例との比較検討を行う予定である。
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