研究課題/領域番号 |
19K21632
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分2:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 札幌大学 |
研究代表者 |
佐藤 美希 札幌大学, 地域共創学群, 教授 (50507209)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 翻訳 / 翻案 / 翻訳学 / 翻訳研究 / 外国文学受容 / 近世 / 明治 / トランスレーション・スタディーズ / 白話小説受容 / 白話文学受容 / 戯作 / 書き換え(rewriting) / 近世白話文学受容 / 明治期の翻訳文学 / 翻訳学/翻訳研究 / 英文学 / 白話文学 |
研究開始時の研究の概要 |
現在の文学研究では、ジャンルやテクストの言語、時代などの縦割りの分野別研究手法が確立している一方で、一つの枠組みを超えた研究課題に踏み込むことは積極的になされにくい。本研究では、その縦割りの枠組みを横断する視座として翻訳学/翻訳研究(Translation Studies)に依拠し、翻訳観の変遷と連続性に着目して文学受容を理解する。その一例として、近世白話文学受容~戯作文学~明治初期の英文学翻訳受容の連続性について、近世文学研究および英文学研究とは異なる観点から再検討したい。さらに、翻訳学/翻訳研究を文学研究と接合し、ジャンル・言語・分野を横断する文学研究の確立も最終的な目的とする。
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研究成果の概要 |
本研究では、近世白話小説受容が原文に忠実な受容から翻案的なあり方に変化した様相を、翻訳学の理論である多元システム論を用いて、当時の散文文学ジャンルとの関係から把握し直した。さらに、「翻訳」「翻案」の概念が近世から近代初期でその意味が異なる点を論じ、その背景には、西洋文学受容が盛んに行われる中で形成された翻訳規範、近世戯作文学の伝統から写実を重視する近代小説への移行、さらに言文一致運動も含めた明治20年頃の日本の文学状況の重要な変化が関連したことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究課題を通じて、時代や分野別に細分化される傾向がある文学研究を翻訳学の観点から近世の外国文学受容を横断的に分析することができ、翻訳学が文学研究の一つの方法論として有効であることを示したと考えている。また、現在使われている「翻訳」「翻案」という概念が近世や近代初期とは異なっている点を明らかにしたことによって、いわゆる「翻訳」を定義し直す必要性を認識できた。これは、特に2000年代以降多様化を示す外国文学受容のあり方を把握する契機になるものである。
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