研究課題/領域番号 |
19K21634
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分2:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
大塚 祐子 上智大学, 外国語学部, 教授 (30794474)
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研究分担者 |
大滝 宏一 中京大学, 国際学部, 准教授 (50616042)
木戸 康人 九州国際大学, 現代ビジネス学部, 准教授 (30800841)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | トンガ語 / 第一言語獲得 / 継承語 / コーパス / 少数言語 / 言語維持 / ポリネシア諸語 / 自然発話コーパス / 能格言語 / 母語獲得 / オーストロネシア諸語 / VSO言語 / 言語学 |
研究開始時の研究の概要 |
トンガ語(オーストロネシア諸語)の幼児発話コーパスを構築し、得られたデータの分析を通じて、言語類型的に希少な特徴を持つ言語の獲得研究に貢献するとともに、少数言語の保存における幼児発話データの重要性を考察する。対象はモノリンガルのトンガ語話者を両親に持つ子供二名とし、一歳六か月から四歳六か月の三年間、二週間に一回の頻度で六十分、母子のやりとりをビデオカメラで録画する。本研究で構築するコーパスは、言語獲得理論の進展に大きく貢献する希少データであるのみならず、危機言語過渡期の特徴を示すトンガ語の言語継承の記録として、少数言語保持の観点からも重要な価値を持つ資料となる。
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研究実績の概要 |
2023年度は比較的順調にデータ収集が進み、録画を20回実施、約10時間分のデータを収集した。データ収集を開始した2022年度8月から累計で16時間以上の幼児発話データが収集できたことになる。2022年度末に録画データをCHAT形式に書起す作業を担当するリサーチアシスタントの研修を行い、2023年度は書き起こし作業と文レベルの英訳の付与も開始した。複数の子供が同時に話していることも多いため、聞き取り作業に時間がかかることや、CHAT形式のファイル作成に使うプログラムに慣れるのに時間が必要だったこともあり、今年度中に完了したCHATファイル(英訳付与済み)は録画一回分にとどまった。 年間を通じて、研究者と現地コーディネーター及びリサーチアシスタントとで頻繁にオンライン会議を開き、作業を行う上での問題点を随時相談したり、作成されたCHATファイルの内容を研究者が丁寧にチェックし修正のアドバイスをするなどして、今後よりスムーズに書起し作業が進められるようマニュアルの加筆修正も行った。 少数言語の維持という観点からは、録画への協力を通じて、子供たちの両親がトンガ語を次世代につなぐことの大切さを改めて認識し、これまでは英語に偏りがちだったところを普段の生活でも意識してトンガ語を使うようになったり、子供たちがトンガ語に関心を示すようになったり、目に見える形で期待してた以上の効果が現れ始め、研究の社会的な貢献を実感することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画当初は2019年度にプロジェクトを開始する予定だったのが、コロナ禍でデータ収集の開始が2022年8月になるなど大幅に遅れた。データ収集はその後順調であるが、コーパスの一般公開に必要なCHATファイルの作成に予想していたよりもはるかに長い時間が必要だということが判明したため。
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今後の研究の推進方策 |
録画データの書起しと文レベルの英訳の付与の作業は、一通り丁寧に行ったので、今後は比較的短時間でCHATファイルの作成が進むことが期待される。再延長期間に残りのファイルの作成を完了し、CHILDESにアップロードして一般公開を目指す。また、時間に余裕があれば、リサーチアシスタントに語レベルのアノテーションの付与に必要な研修を行い、今後、さらにデータの内容の充実を図るための準備を整えたい。
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