研究課題/領域番号 |
19K21636
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分2:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
辻 昌宏 明治大学, 経営学部, 専任教授 (00188533)
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研究分担者 |
奥 香織 明治大学, 文学部, 専任准教授 (30580427)
新谷 崇 茨城大学, 教育学部, 助教 (30755517)
仮屋 浩子 明治大学, 政治経済学部, 専任准教授 (50440136)
道家 英穂 専修大学, 文学部, 教授 (70198000)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 宗教改革 / 演劇 / 改宗者 / コンベルソ / 宗派化 / 神秘劇 / 殉教劇 / オペラ / ユダヤ教徒 / 殉教 / 検閲 / 劇作家 / 異端審問 / 改宗と世界観 |
研究開始時の研究の概要 |
16世紀後半及び17世紀はヨーロッパ諸国において宗教改革が進展し、同時に演劇が興隆した時期であった。本研究の目的は、この両者の相互関係を、改宗者に着目して明らかにすることである。即ち、演劇と宗教の関係に国境を越えて普遍的に見られる傾向・特徴があることを実証する。また、改宗者及びその子孫、宗教的弾圧を受けた者の心性が、作品の構造、登場人物の振る舞い、性格などにどう反映されているかを、各国の劇作家50人程度について統計的調査を行い、データ化する。構築したデータは論文やインターネットを通じ公開する。データには、劇作家の宗教的背景、改宗の有無や宗教的弾圧の有無を含め、互いの要素の相関性を考察する。
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研究成果の概要 |
近代の始まりを、フランス革命ではなく宗教改革に設定することにより、宗教改革が西欧全体を揺るがす運動であり、北欧やイングランドでは国家体制の変革が同時に生じたこと、スペインでは対抗宗教改革の中で少なからぬ改宗者や改宗者の子孫が演劇活動を担っていたこと、逆にイタリアでは、演劇活動に改宗者はほとんど見当たらず、むしろ教会関係者(枢機卿の秘書など)や宮廷人が多く含まれていることが判った。イングランドやスペインでは劇作家が誕生するが、イタリアでは劇作を担うのは宮廷人や文人という時代が続く。宗教改革の衝撃は各国の演劇活動に大きな影響を与えているが、その現れ方は大きく形も方向性も異なることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近代の定義を見直すことで、宗教改革以降の演劇と国家の宗教統制、改宗者の関係を捉え直すことができた。16世紀、17世紀においては、演劇を含む諸芸術と、国家、パトロン、宗派との関係は19世紀以降と比較してより濃密であり、演劇なり、他の芸術ジャンルを独立したジャンルとして考えることは出来ない。この時期の演劇をイングランド、フランス、スペイン、イタリアを横断して比較することにより、国、地域によって、演劇の発展のスピードが異なり、国家体制との関係も大きく相違することが判った。西欧における宗教体制が、演劇をはじめとする諸芸術に対する世界観におよぼす根源的な影響の存在を明らかにすることが出来た。
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