研究課題/領域番号 |
19K21645
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 大介 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (50374872)
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研究分担者 |
佐藤 正恵 石巻専修大学, 人間学部, 教授 (00211946)
Morris John.F 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (30220057)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 歴史資料保全 / 心理社会的支援 / 学際連携 / レジリエンス / 歴史資料の救済保全 / ボランティア / 精神保健(メンタルヘルス) / 災害リスク対応の涵養 |
研究開始時の研究の概要 |
1990年代以降、日本列島で多発している災害に際して、地域の歴史資料(古文書、道具、 美術品など有形の遺産)の救済活動が展開されている。活動の主体となっている退職者・高齢者を中心とする市民ボランティアの証言から、当該の活動が2005年に世界保健機関(WHO)などが提起した被災者自らの力による回復を支援する心理社会的支援(Psychosocial Support)の実践となっている可能性が見られる。本研究では史料の救済に取り組む歴史研究者と、臨床心理士が共同で、参加者への心理的影響について研究し、地域の歴史資料およびそれらに内包する歴史情報が心理社会的支援として果たしうる固有の役割を明らかにする。
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研究成果の概要 |
新型コロナウイルスの感染拡大にともない、史料保全活動に参加する市民ボランティアへの聞き取り調査が、各地の受け入れ組織における感染防止対策にともないほぼ実施できなかった。一方で、レスキューの対象となった個人の史料所蔵者に対する臨床心理学的調査から、個人の心理的回復や共同体の再建において、歴史資料の保全が心理的な支援となり得ることを、所蔵者の類型化によって明らかにした。また、国際機関が公表している。災害・紛争時における文化財の初動ガイドラインを邦訳して公表した。被災したコミュニティの再生支援として文化遺産の救済が実施されていることを確認し、今後国際的に議論を展開する上での基礎的な情報を共有出来た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本における被災した古文書の保全については、救済の対象となる「モノ」である古文書を保存していた所蔵者に対し、それらの「モノ」を研究対象としてきた文献史学分野の研究者を中心に、「モノ」の保全として取り組まれてきた。被災地・被災者支援としての効果については、活動に参加した歴史関係者の経験談として提示されてきたのに対し、本研究では臨床心理学的な手法によって、「人」や「コミュニティ」の支援として効果があることを定量的に示すことができた。特に、高齢者への支援となり得るという点は、超高齢化社会を迎える日本や先進国において、文化遺産を保全する活動を公的な活動として展開していく必要性を提起するものである。
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