研究課題/領域番号 |
19K21647
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
|
研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
水本 和美 (樋口 和美 / 水本和美) 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 講師 (80610295)
|
研究分担者 |
一宮 八重 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 講師 (40832613)
田口 智子 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 研究員 (90755472)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | 泥絵 / 渡辺紳一郎氏旧蔵コレクション / 色材 / 自然科学分析 / ガラス絵 / 個人コレクション / 資料保存 / 遠近法(パースペクティブ) / 渡邊紳一郎氏旧蔵コレクション / 江戸(都市) / 個人コレクションの保存法 / 渡辺紳一郎氏コレクション / 色材(プルシアンブルーほか)) / 蛍光X線分析 / 江戸 / 上方 / 都市 / 遠近法 / プルシアンブルー / 蛍光X線分析 / トルコの近代化 / 材料技法 / 都市史 / 美術史 / 文化財科学 |
研究開始時の研究の概要 |
泥絵は19世紀の日本絵画の中でも、西洋画との接点や、色彩のある風景画であるにもかかわらず、浮世絵などに比較して、一般にはあまり知られていない。本研究では、都市史や絵画史、江戸東京の景観変遷と絵画モチーフとしての対象選択の意味、19世紀の西洋画や初期の洋画との技法・材料比較、悉皆的な材料学的検討、泥絵の保存性に関する予備な調査を含め「泥絵」に関する初の総合的研究を行う。浮世絵から油彩画への転換期に存在した「泥絵」という庶民の風景画を世界に認知してもらう機会として、萌芽研究で挑戦したい。東京の風景が新たに変わりゆく「東京2020」に近い時期に報告書兼図録を刊行、展示などの活用への展開可能にしたい。
|
研究成果の概要 |
江戸時代から明治時代はじめ、「泥絵」として括られる絵画が制作された。浮世絵が広く海外に知られる一方、泥絵は、一部の研究者を除けば認知度が低い。代表者は、泥絵の中では比較的露出されてきた渡辺紳一郎氏の旧蔵コレクションの調査・購入の機会を得た。文献調査・観察調査のほか、自然科学的な手法による材料調査も実施した。これにより、油絵など西洋絵画等の技術との対比で、泥絵が必ずしも従来の「民画」としての位置付けにとどまらないことを材料や描画技法などから明らかにしうると考える。ガラス絵などとの比較も行い、材料や描画法などの知見を得た。泥絵の保存の検討から日本の個人住宅で保管される文化財の保存法研究に発展した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
科研費購入で、渡辺紳一郎氏の旧蔵コレクションが散逸をまぬかれた。美術・文化財の研究上の意義は深い。泥絵の観察と自然科学分析による材料技法の再検討から、これまでの「民画」という位置づけに対する新たな知見を得た。浮世絵に比して認知度の少ない泥絵に学術的な位置づけを与え、海外を含めた露出を増やす根拠となる。また、泥絵の保存性を検討するなか、夏場は高温多湿・冬場は低温乾燥の日本の環境下での個人コレクションを、個人住宅でどう保存しえるかに関して知見を得た。これは、文化財すべてに対して博物館・美術館の収蔵庫環境を保障できないなか、個人所有のコレクションを後世に繋ぐために、社会的意義の深い成果となった。
|