研究課題/領域番号 |
19K21663
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
古澤 拓郎 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (50422457)
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研究分担者 |
小谷 真吾 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (90375600)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2019年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 異常気象 / 伝統文化 / 暦 / インドネシア / MODIS / 植生変化 / ゴカイ類 / 在来暦法 / 生業 / 気候変動 / 人類生態学 |
研究開始時の研究の概要 |
伝統暦と気象との関係を明らかにするために、まず2000年から現在までのMODISデータを各地について収集し、植生指数によって経時的環境変化を抽出し、それに数理解析を加えることで季節変化とトレンド変化などを解明する。文献調査・現地調査により、伝統暦における年・月・日の違いを明らかにし、それを植生変化の各時点に一致させる。他に気象に関する各種データや、伝統暦に基づく儀礼情報を収集する。
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研究成果の概要 |
アジア各地で生業を営むために用いられてきた在来暦法が、平年とは異なる多雨や少雨、強風などの異常気象を予知できているのかを、現地調査・文献調査と20年間にわたる人工衛星画像解析を組み合わせて検証をした。自然暦を取り入れた太陰太陽暦であるスンバ島西部暦は、特定の季節における自然状態を観察して平年の状態と比べることで、その年の気象条件を予測して、生業を自然条件に合わせて行うことに適していたと考えられる。高度に規則化された太陰太陽暦であるバリ暦は、組織的な治水による大規模な水田稲作によって、気象にかかわらず植生変動はゆるやかにしたと考えられる。しかし地球規模気候変動や現代農業には適さない暦法もある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、伝統暦法を文化や歴史の観点だけではなく、各地で起こってきた異常気象の予知に役立ってきたメカニズムを解明したという点で、独創的であった。また、現在の地球規模気候変動に、伝統暦法が役立てられるかを探ったという点で、挑戦的であった。伝統暦法の中には、現代の暮らしや、気候にはなじまなくなり、その知恵が失われていくものもある。しかし、今後地球規模の気候変動が進む場合には、過去の自然状態を理解したうえで、新しい状態を予知していくことが必要になるため、伝統暦法のメカニズム解明は過去の自然状態=「平年値」を示すことができたという点で、社会に大きな貢献をした。
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