研究課題/領域番号 |
19K21664
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
中島 敦司 和歌山大学, システム工学部, 教授 (90283960)
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研究分担者 |
湯崎 真梨子 和歌山大学, 食農総合研究教育センター, 客員教授 (50516854)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 神社 / 立地 / 祭神 / 浸水害 / 土砂災害 / 災害安全性 / デジタルマップ / GIS / 災害 / ハザードマップ / 可視化 / 水害 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,紀伊半島に立地する小社,小祠,廃社,跡地などを含む8000箇所以上に及ぶと見込まれる神社の位置を可能な限り悉皆抽出し,それら立地の水害,土砂災害に対する安全性評価を行う。研究方法は,文献と現地調査により神社の情報を収集,位置を特定し,GIS上に神社レイヤーを作成する。次に,ハザードマップと神社レイヤーを重ね,水害,土砂災害と神社立地,祭神との関係を明らかにする。明治期の合祀以前の神社が造営された時点の社名,祭神も対象とし,過去の災害履歴との対応関係も検証する。これらの分析を通じて,神社立地の災害安全性を可視化するとともに,先人の防災リスク認識を知識遺産として記録する。
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研究成果の概要 |
本研究は,神社の立地に着目することで災害の回避に対する先人の知恵の確からしさを検証する目的で,紀伊半島内の旧紀の国,旧吉野の国における4.822社の神社の位置を祭神別にGIS上に記録し,ハザードマップと比較し,神社立地や祭神別の災害安全性を評価した。その結果,浸水害で91.7%,土砂災害で63.6%の神社が安全側にあると評価された。祭神別では,浸水害に対しては,祭神の違いによらず90%以上の立地が安全側と評価され,土砂災害に対しては,自然信仰系神社は安全側に置かれることが多く,その一方では先行研究で災害忌避性が高いと評価された素盞嗚尊はむしろ多くが危険側に立地していたことを確認した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では,災害安全性,特に立地選定に対する先人の知恵と知識の確からしさを防災工学的に確認することができ,また,それを可視化することに成功した。この知見は,災害が多発する特に山間部の防災技術に対して有用な知見を与えるとともに,神社という場所の価値を再評価することにつながる人文地理学的にも新規性のある結果を導き出した。さらに,GISを用いた分析法が,様々な場面での防災解析に応用できることを示すことができた。その一方で,近年注目されるクラウドマッピングがプライバシー保護の観点から課題があることも分かった。
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