研究課題/領域番号 |
19K21672
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
柘 浩一郎 科学警察研究所, 法科学第三部, 室長 (90356204)
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研究分担者 |
杉田 律子 科学警察研究所, 附属鑑定所, 所長 (60356201)
吉川 ひとみ 科学警察研究所, 法科学第三部, 主任研究官 (20392269)
板宮 裕実 科学警察研究所, 法科学第三部, 主任研究官 (40645488)
組坂 健人 科学警察研究所, 法科学第三部, 研究員 (40801577)
宮口 一 科学警察研究所, 法科学第三部, 室長 (10370884)
小田 凌也 広島大学, 情報科学部, 特任助教 (10853682)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 土壌有機物 / 植物DNA / NGS / 腐植 / 異同識別 / 統計学的解析 / 次世代シーケンサ / 熱分解GC-MS / 地域推定 / 次世代シーケンサ(NGS) / 土壌微生物 / 土壌学 / 地理学 / DNAメタバーコーディング / 分析化学 |
研究開始時の研究の概要 |
「この土壌はどこから来たものか?」という問いは、我々の研究分野において常に求められてきた課題であり、これまで、主として地球科学的なアプローチでこの問題の解決が試みられてきた。様々な地域の土壌が分析されてきたものの、そこから踏み込んで採取地点の特徴、すなわち土地利用や植生などを決定するには至っていない。 そこで本研究では土壌の土壌たる部分、すなわち生物活動の痕跡を、土壌中主要有機物である腐植の熱分解GC-MS分析等による化学的分析、DNAメタバーコーディング解析による土壌中植生の解析(生物学的解析)することにより土壌の持つ特徴を明らかにする。
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研究実績の概要 |
これで分析法を確立した方法を用い、埼玉県内、和歌山県内、福岡県内の土壌計10種について、土壌中有機物を対象とした熱分解GC/MS分析を実施した。 その結果、農耕地や住宅街等の比較的腐植成分が多いと想定された資料からは多数の寝g津分解物のピークが認められ、その成分としては、フェノール系化合物、含窒素、含酸素複素環化合物等が主成分であり、これは腐植中のリグニン等に由来する熱分解性生成物であると推定された。一方で非農耕地の土壌の分析では、出現したピーク数およびピーク面積は明らかに少なく、本法により有機物の量的・質的区別が可能となり、土地利用の推定に活用できるものと考えられた。 また、海岸付近から採取された土壌の分析において、含塩素系芳香族化合物が検出された。これらの化合物は元の土壌中にこの形態で含有されているとは考えられないことから、熱分解反応時に生成したものであると推測した。含塩素系芳香族化合物の検出は、分析した土壌が海岸付近のものであったことを示す一指標として利用できる可能性があると考えられた。 農耕地の土壌においては、出現した熱分解化合物の物質(種類)に大きな差は認められなかったが、それぞれの物質のピーク面積比は試料ごとに大きく異なり、クロマトグラムの比較によって明らかに差異があることが認められた。しかしながら、クロマトグラムの比較による識別は解析者の主観によるものが大きいことから、これらのクロマトグラムの統計学的解析による客観的な識別法のアルゴリズムを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の拡大に伴ない、試料採取等に大きな制約が生じ、進捗はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
熱分解GC-MSによる土壌中有機化合物の解析は、測定試料の地点(地域)数、土地利用状況などを変化させ、さらに分析を実施する予定である。 今年度の分析の結果、海岸付近の土壌に特異的と思われる生成物が検出されたことから、海岸付近の圃場や住宅地等の試料採取を積極的に実施し、これらの含塩素系化合物が指標になり得るかをさらに検討する予定である。 現在、クロマトグラムの統計学的識別のためのアルゴリズムのプロトタイプができつつあることから、上記の試料について、統計学的な解析を実施し、識別力の評価を実施する。 植物DNAの解析については、同じ圃場内で栽培している植物が異なる試料について、既にDNAの精製が完了し、葉緑体DNAの検出まで実施できていることから、次世代シーケンサーを用いた解析を実施する予定である。
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