研究課題/領域番号 |
19K21674
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分5:法学およびその関連分野
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
潮海 久雄 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (80304567)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | AI関連発明 / 特許要件 / 進歩性要件 / 開示要件 / 発明性 / データライセンス / データ共有 / 機械学習 / 深層学習 / データ / 進歩性 / ソフトウェア関連発明 / プロダクトバイプロセスクレーム / 特許法 / 著作権法 / 学習済みモデル / データ保護 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、AI関連発明とソフトウェア関連発明との異同に留意して、その多様な実態を解明するとともに、特許法による保護の問題点を指摘し、その実態に適合するよう特許法を変革すべきかを、法理論と実態の双方向から考察する。 まず、①ソフトウェア関連発明と異なるAI関連発明に発明性が認められるかを検討する。次に、②特許発明のプロセスの重要部分をAIが代替すると、自然人のみを「発明者」とする現行特許法の体系を変えるべきかを検討する。さらに、特許発明のどの点に進歩性が認められるのか、AI発明のどの部分を特許明細書に開示すべきか(記載要件)を分析・検討する。
|
研究実績の概要 |
2022年4月からGPAI(Global Partnership on Artificial intelligence)のThe Innovation and Commercialization (I&C:イノベーションと商業化) Working Group に参加し、知的財産法およびライセンス契約の観点から、英文報告書(IP primer, data scarping,data and AI model licensing)作成に貢献した。特に、AI関連発明で重要となる大規模データの収集・管理・共有について、営業秘密・限定提供データの不競法、著作権法の保護とその限界を、わが国の不法行為法による保護にさかのぼって比較法的に考察した。また、データ共有のためのAI・データ契約ガイドラインおよびその後の展開について調査し、欧州のData Actによるデータ共有と対比して考察した。以上から得られた知見を、競争法・情報法・著作権法・不正競争防止法等の諸観点からまとめ、2023年3月に「データ共有の法的課題ーIoT・AI開発の事例」特許研究75号7頁を公表した。 さらに、データ共有の際に大きな問題となるデータ標準化と関連して、通信の標準規格で問題となる必須特許の権利行使の問題(上流と下流の間のライセンス契約、差止請求、消尽等)について、ライセンス契約、競争法、特許法の総合法的観点から検討し、「サプライチェーンにおける標準必須特許のライセンスの相手方―最終製品業者か部品業者かー」AIPPI67巻9号2頁(2022年9月)にまとめ、公表した。また、現代では、ネットワーク関連発明で問題となる「特許権の共同直接侵害」の評釈を公表した(令和3年度重要判例解説)ジュリ1570号231頁(2022年4月)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、AI関連発明の発明性、進歩性要件、開示要件などの特許要件を、AI関連発明の実態から類型化し、ソフトウェア関連発明との相違の観点から検討したが、AI関連発明の各リソース(データ、データ処理のノウハウ、ソフトウェア、ドメイン知識)の法的保護と、そのライセンス・市場などの視点からの検討を通じて、法政策的観点からAI関連発明の保護およびその特許要件をとらえなおしているため。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年まで、AI関連発明の発明性、進歩性要件、開示要件などの特許要件を、特許法の視点から検討したが、AI関連発明の各リソース(データ、データ処理のノウハウ、ソフトウェア、ドメイン知識)の法的保護と、データとAIモデルの成果物のライセンス・市場など大きな視点から検討することを通じて、法政策的観点からAI関連発明の保護を検討することを予定している。具体的には、既に検討した、AI関連発明の発明性、進歩性要件、開示要件の解釈論・立法論を再構築する。
|