研究課題/領域番号 |
19K21688
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
神林 龍 一橋大学, 経済研究所, 教授 (40326004)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2019年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 郷土聯隊 / 戦没者 / 労働市場 / 都道府県 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、日本における第二次世界大戦の犠牲者が、特定地域の特定年齢階層の男性に偏ったことによって生じた人口構造のアンバランスが、その後の当該地域の産業発展や労働市場に与えた影響を考察することにある。このアンバランスに注目したのは本研究が初めてではないが、本研究では、WWIIの直接の当時者が物故する中、大戦が日本社会にもたらした影響について冷静に議論を積み重ねる必要が以前にも増しているという認識のもと、近年急速に発達した計量経済学的手法によって方法的難点を解消し、研究分野に先鞭をつけるという意味で萌芽的な研究として位置付ける。
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研究実績の概要 |
(1)2022年度に引き続き県/年齢コホート別パネルデータに、厚生労働省『賃金構造基本統計調査』の賃金データを取り入れて分析を継続した。また、(3)にある厚生労働省からの情報提供を取り入れた分析を行った。基本的な含意は、2022年度までの発見と変わらない。戦時中の特定年齢コホートの男性の減少は、戦後当該都道府県の農業従事者を一時的に増やし製造業の発展に負の影響をもたらしたが、その効果は中長期的には消失したことが確かめられた。この際、産業間の影響のみならず産業内の男女シェアの変化をも分析対象に取り入れ、若年男子人口の減少は確かに各産業内の女性比率を上昇させたこともわかった。 (2)現段階の結果をもとに2022年度までに作成したプレゼンテーション用の材料を改訂するとともに、本文もほぼ完成させた。また、欧州において同様の研究に従事しているフランスやスペインの研究者との連絡も継続した。また、国内各所、Asian and Australasian Society of Labour Economics や NBER Japan Project Meeting で報告し、テクニカルな点のみならず論文構成上の点についてもコメントが得られた。 (3)都道府県別各歳別戦死者数については、厚生労働省に残されている戦死者関係の資料の電子複製から集計できないかを担当部局と断続的に協議し、一部情報を受け取ることができた。詳細については厚生労働省の担当者の了解が得られ次第公表する。また、各都道府県の援護課への資料残存についての照会を一通り実施し、資料が残存する県も一部存在することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
都道府県へのデータ照会とその利用の可否についてのコミュニケーションが、コロナ禍の影響を受けて遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
厚生労働省から得られたデータをアップデートした本文の完成を急ぎ、国内外の各学会での報告の場を求める。また、各都道府県の援護課へ一応終えた照会を整理し、一部資料が残存する県について、データ化や利用について話し合うとともに、その他の都道府県についても継続して資料の残存についての調査を継続する。
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