研究課題/領域番号 |
19K21689
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
中村 靖 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 名誉教授 (60189066)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 体制転換 / 国家機構 / 公共部門 / 人的資本 / ドイツ統一 / 国家装置 / 人材 / 市場移行 / 資本市場 / 行政機構 / 人的資源 / 制度構築 / 東ドイツ / 移行経済 |
研究開始時の研究の概要 |
ドイツ統一後の旧東独地域において,行政機構を機能させるための人材をどのように育成したか,そこにどのような問題が生じたか,どの程度の経済的費用がかかったかを文献・アーカイブ調査と現地でのインタビュー調査とを組み合わせておこなう.文献・アーカイブ調査では主として経済的費用についてのデータを収集する.インタビュー調査は,州政府,市政府を対象とし,ドイツ統一後に実際に採用された人材不足への対処方法,つまり(1)西独人材の派遣,(2)旧東独行政人材の再教育,(3)両独行政職員間の非公式ネットワークによる情報と知識の移転の実態を調査し,これらの対処方法への評価を当時の当事者から聴取する.
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研究成果の概要 |
ドイツ統一後に民主主義市場経済の国家機構営経験をもつ人材の不足の下で新国家機構がどのように構築されたかを分析した.西独人材の派遣,旧東独人材の再教育,自発的に形成された両独人材間の非公式ネットワークの3つを通じた知識の移転が新国家機構の運営を可能にしたことがわかった.旧東独における成功は,西独の国家機構と社会的市場経済という具体的ゴール,資金援助とその効率的利用を監視する資本市場,共通言語を前提とした.これらの条件のない他の国では公共部門の人的資本蓄積は世代単位の時間を要するだろう.「市場経済への急速な移行」は経済的には正しいが,公共部門の人材不足という現実の条件下では実行不能である.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の結果は,体制転換後の公共部門人的資本形成には,体制転換の具体的なゴールの堅持と知識・ノウハウの移転経路の確保が重要であることを示した.加えて,資金援助とその資金の効率的利用を監視する資本市場の重要性も示した.これらの条件は,ドイツ統一の枠組みでは相対的に容易に提供されたが,他の国ではいずれも容易にクリアできる条件ではない. 国家機構による公共サービス供給は現代的市場経済が機能する前提条件であるが,経済部門と異なり公共部門の人的資本形成が自生的におこなわれることは考えにくい.本研究は民主主義市場経済への移行において公共部門の人的資本蓄積の長期的戦略が必要であることを再確認した.
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