研究課題/領域番号 |
19K21700
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
岸本 太一 東京理科大学, 経営学研究科技術経営専攻, 講師 (70508556)
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研究分担者 |
岸 保行 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (50454088)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 文化製品 / 国際展開 / 大衆品化 / ワイン / 日本酒 / ローカル適合 / 産業集積 / 非プロパー経営者 / 形式知化 / 製品適応 / ブーム / 戦略模倣 / 模創品 / 伝統品 / 本国側の構造転換 / メカニズム |
研究開始時の研究の概要 |
近年文化製品の国際展開は、国家戦略となるほどにまで活発化し、その拡大に示唆を与える研究は、社会から強く求められつつある。本研究では、日本におけるワインという成功事例を基に、文化製品の大衆品化メカニズムの解明を試みる。研究領域の細分化と専門化が進展する経営学において、本研究では複合領域的な視角を採用する。具体的には、製品開発論、生産管理論、サプライチェーンマネジメント、マーケティング、国際経営論、社会学(文化論)を活用して分析を行う。一方、最終目的に関しては、特定仮説の実証研究による短編論文が主流の中、「メカニズムの全体像を描く仮説群の提示」自体を目的に掲げ、著書による最終成果物公表を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では「日本市場におけるワインの大衆品化」を事例研究の主な題材として活用し、「文化製品の国際普及メカニズムの全体像」を大まかに描写することを、最終目的としている。そしてその結果を、短編論文に留まらずに、著書化することを目指しており、この点を上述の目的と共に、挑戦的研究としての意義の一つに掲げている。 本課題は当初の計画では、一昨年度が最終年度となる予定であった。しかし、COVID-19による遅延の影響があり、一昨年度、昨年度と延長を申請し、更に本年度も再延長を申請した。以上の関連で、本年度も中間作業という位置づけで研究を実施した。 本課題の研究では、主要な研究方法としてフィールドワークを採用し、それを研究計画調書にも明記していた。にもかかわらず、一昨年度まではCOVID-19の影響により、十分に実施することができず、海外調査に至っては、国際展開をテーマとする研究にもかかわらず。一度も実施できていなかった。しかし、昨年度は、その影響が緩和され、日本酒産業の集積である新潟とワイン産業の世界的な集積であるフランスのシャンパーニュ地域とブルゴーニュ地域において、本格的な調査を実施することができた。 ただし、昨年度は、仏調査の実施時期が2023年3月だったこともあり、調査結果を分析し、整理する等の時間を設けることができなかった。ゆえに、本年度はそれらの作業の実施に、大半の研究時間を費やした。 以上の結果本年度は、中間成果の論文化や公表に関しても、一部行うことができた。具体的には、「日本経営学会 第97回大会」において「中小メーカーの輸出開拓に対する所属集積からの支援 -仏・ブルゴーニュ地域の事例分析を活用した視野拡張-」というタイトルで、「国際ビジネス研究学会 第30回年次大会」において「中小酒類企業の外需開拓における「非プロパー経営者」の貢献」というタイトルで学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「やや遅れている」を選択した最大の理由は、フィールドワークの予期せぬ延期にある。 「研究実績の概要」の欄で記載したように、昨年度は数年前から計画していたフィールドワークを、大型の海外調査を含め、2つ実施することができた。しかし、どちらの調査も当初の計画では、新潟調査は2022年の3月に、フランス調査に至っては2020年の3月に実施する予定であった調査であり、昨年度が始まる前に既に完了している予定であった。(なお、両調査の計画と延期に関しては、過去の実施状況報告書に記載してあるので、そちらも参照して頂きたい。)本研究課題は、フィールドワークを最大の事実収集源に位置づけて、研究計画を立てた課題となる。それゆえに、調査の延期は、成果報告の面にも、その進捗に少なからず影響を及ぼすこととなった。 研究計画調書に記載した当初の計画では、一昨年度に既に「①:海外ジャーナル向けの論文の作成」および「②:最終成果物となる著書の作成」を実施している予定であった。しかし、現時点においては、①と②のどちらに関しても、上述したフィールドワークの実施時期の影響等で、作成を完了することができていない。 ただし、作成作業については着実に進んでいる。①の方は、フィールドワークの結果等を基に、論文の一部となるコンテンツの作成を進めることができている。②についても、著書の一部となる成果は増えており、著書の章立て案に関しても、昨年度構築したものを更に追加修正し、精緻化を行なうことができている。加えて本年度においては、著書出版の実現可能性も高めることができた。より具体的に言えば、「日本経営学会 第97回大会」で発表した際に、経営学を主要な分野の一つとする専門書出版社の編集者が聴講しており、発表後、本課題の研究成果に基づいた著書出版の打診を受けた。 以上を踏まえ、現在までの進捗状況を「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針については、基本的に昨年度と同じ方針を踏襲するつもりである。 事実調査面に関しては、下記の2点の試みを考えている。 1点目は「延期したフィールドワークを次年度の調査に追加する」という試みである。本研究には「研究実績の概要」で記載した新潟調査とフランス調査以外にも、本年度までに実施を計画していたが、まだ実施のできていない訪問調査が、複数存在する。したがって、次年度においてはそれらの調査を、可能な限り実施することを試みる。 2点目は「フィールドワーク以外の調査方法に切り替える」という試みである。フィールドワークに関しては、研究費の残額の関係で、研究計画調書に記載した調査の全てを実施することができない状況となった。より具体的に言えば、当初計画をしていた二つの大型海外調査(チリ調査およびイタリア・スペイン調査)については、訪問調査を実施できない可能性が極めて高い。以上の関係から、調査の一部に関しては、オンラインによるインタビュー調査や文献調査に切り替え、実施していきたいと考えている。 成果公表面に関しては「提出を予定していたが、まだ提出することができていない成果物」を、できうる限り公表していきたいと考えている。具体的には、「最終成果物となる著書の出版」および「海外ジャーナルへの論文の投稿」を達成したいと考えている。 しかし、上述したように、本研究においては、事実調査の面で大幅な遅延および不足が生じており、また、次年度においても、予算の関係で次善の代替手段へと変更せざるを得ない調査が発生する見込みである。したがって、仮に事実収集が不十分になってしまった場合には、例えば、公表媒体を海外ジャーナルから学会発表へと変える等の変更を余儀なくされる可能性がある。そういった変更を考慮にいれつつ、構築した研究蓄積を最大限に活かすことができる公表方法を選択していきたいと考えている。
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