研究課題/領域番号 |
19K21711
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
山本 達司 同志社大学, 商学部, 教授 (80191419)
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研究分担者 |
三輪 一統 大阪大学, 経済学研究科, 准教授 (00748296)
田口 聡志 同志社大学, 商学部, 教授 (70338234)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 会計不正 / 経済実験 / 財務会計 / 実験社会科学 / 経営管理 / 予算参加 / 業績評価 / 会計制度 / 会計制度の設計 / 制度の失敗 / 行動経済学 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで大きな会計不正が発覚するたびに、会計制度が改正されてきたが、現代でも会計不正は存在する。会計制度改正の失敗の原因は、①会計規制設定機関が会計手続の厳格化に着目し、会計数値を作成する人間心理という視点を欠いていたこと、②「会計数値を作成する経営者と利害関係者の行動を事前に予測し、社会を幸せにする会計制度を構築する」という発想が欠落していたことである。 従って本研究では、行動ゲーム理論に基づいて、経営者に公正な会計数値を作成させるためのインセンティブ設計を行い、この理論モデルを経済実験により検証する。さらに、実験結果の現実的妥当性を確かめるために、公認会計士へのインタビュー調査を行う。
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研究成果の概要 |
これまでの会計制度設計は、粉飾決算が発覚するとともに、より厳しい規制を課するという方法で進められてきた。しかし今日でも、会計不正が起こっている。このような制度設計失敗の原因は、「人はなぜ嘘をつくか」という心理的な問題を考慮しなかったためである。本研究では、人が嘘をつくメカニズムとその防止方法について、理論的仮説を導き、それを実験室実験によって検証した。その結果、次の2つの発見が得られた。①人々は最初は小さな嘘をつき、それがエスカレートし、大きな嘘となる。②企業内の虚偽報告を防止するためには、虚偽と判断する基準を過度に厳格にせず、明らかな虚偽報告のみを受け入れないというシステムが優れている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の主たる貢献は次の2点である。第一に、最初は小さな嘘であっても、人は嘘をつく機会が繰り返し与えられていると、嘘がエスカレートし、結果的には大きな粉飾決算を招く可能性があることを明らかにした。会計学研究において、人が嘘をつく心理的メカニズムから会計不正の防止を提言した研究は少なく、本研究は会計学における粉飾決算防止研究に貢献している。第二に、企業内の虚偽報告を防止するためには、虚偽と判断する基準を過度に厳格にせず、明確な虚偽報告のみを受入れないというシステムが優れていることを明らかにした。つまり、より安価なシステムが,より優れている可能性を示唆している。このことの実務的意義は大きい。
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