研究課題/領域番号 |
19K21713
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分8:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
安達 潤 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (70344538)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ICF(国際生活機能分類) / 発達障害 / 多領域連携・多職種連携 / 社会実装 / クラウドシステム / 強度行動障害 / ICFコアセット / コアセット |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、発達障害支援におけるICF(国際生活機能分類)の実践活用モデルを構築することである。発達障害支援に携わる全国数カ所の支援機関の協力を得て、H27-29のAMED受託研究で開発したICF情報把握・共有システムを実際の支援経過で活用し、発達障害支援に対するシステムの実効性を検証する。2019年度は現行システムの運用上の課題を収集するとともに、ASDおよびADHDのICFコアセットへの導入案を検討し、協力機関の評価を仰ぐ。2020年度はシステムにコアセットを導入・改訂し、実践支援での活用から課題を収集する。2021年度はシステムの最終改訂とシステム実践活用マニュアル作成を行う
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研究実績の概要 |
2023年度の実績の中心は、これまでエクセルで運用してきたICF情報把握・共有システム(ICFシステム)のクラウド化である。またクラウド化を見通して、札幌市・旭川市・碧南市の発達支援事業所および厚生労働科研「強度行動障害者支援のための指導的人材養成プログラムの開発および地域支援体制の構築のための研究(22GC1015)」の中でエクセル版でのシステム運用を進めてきた。しかしR5年度中にクラウド活用とその試用評価を行うには至らず、碧南市でクラウドの説明と簡便なレベルでの活用にとどまっている。 ICFシステムのクラウドは名称をICF Liaison Baseとし、これまで運用してきたエクセルシートと回答分析アプリの機能を備えるとともに、ICFシステムの5つのシート(医学的診断、健康関連情報、活動と参加、環境因子、支援対象者情報)を集約する情報共有フォーマットの出力が可能となっている。またアカウントを持つ複数の支援者がデータを記入し、即時に共有できるものとなっている。さらに一人の支援対象者を複数の事業所で支援する実情を反映し、登録対象者のデータを閲覧できる事業所を設定することで、関連事業所間のみでの情報共有を実現している。クラウドアクセスへの権限には総合管理、事業所管理、支援者という3つのアカウントが設定されているが、クラウド試用を通じて、事業所管理者が他事業所の支援対象者のデータを閲覧できる一方で、対象者のデータを閲覧する事業所設定ができないなどの課題が把握され、その権限整理を反映するクラウド改修を進めている。 ICF Liaison Baseに実装したICFシステムはASDとADHDのICFコアセットを反映したコアセット版ICFシステムであるが、このコアセット版の発達障害支援における有用性をまとめた論文が自閉症スペクトラム研究の査読を通過し、2023年9月に掲載されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年5月にWHOが新型コロナ「緊急事態宣言」終了を発表し、日本政府もそれに応じたが、「今後も警戒を」との付言があったことと、日本社会ではマスクを付け続けるなどの個人的な対策維持が続いていたため、2022年度までと同様、研究協力機関を見出すことが難しかった。そのため、2023年度は、クラウドシステム開発を中心に取り組んだが、システム開発の遅れもあり、ICFシステは可能な範囲での活用にとどまった。クラウドについては、その簡略な説明を碧南市で実施したが、ネットセキュリティの調整という課題もあり、PC操作に不慣れな支援現場単独で十分に操作できるには至っておらず、今後、対面での操作支援も必要となっている。
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今後の研究の推進方策 |
ICFクラウドの改修完了の後、これまでの研究で協力を得た事業所に可能な範囲でクラウドの試用を打診し、長期の支援実践に基づくクラウド評価が難しい場合には、実際の支援データを入力して評価をしてもらう短期の研究協力も模索していく。児童発達支援事業所についてはR6年4月の報酬改定に伴って、5領域を包括した支援が求められているが、R2年度に碧南市で作成した「ICF日々の記録」の5領域対応版を作成し、児童発達支援事業所については、「5領域版日々の記録」の活用をICFのクラウドの活用と連動させて、協力事業所に打診を進めていく。加えて、分担研究者として参加している厚生労働科研「強度行動障害者支援のための指導的人材養成プログラムの開発および地域支援体制の構築のための研究(22GC1015)」においてもICFの活用を、本科研で構築したICF Liaison Baseを活用して実施する方向で展開し、協力事業所を開拓していきたい。実際、R5年度の当該厚生労働科研でのエクセル版ICFシステム活用を通じて、ICFによる支援の有用性を認めた複数の事業所については、ICFクラウド活用の希望があり、これらの事業所にも、クラウド活用評価を依頼する予定である。 以上の事業所での活用については、ICF Liaison Baseの実践天気な操作マニュアルを作成し、zoom等のオンラインによる説明で操作できる状況を準備していく。
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