研究課題/領域番号 |
19K21762
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小野田 正利 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 名誉教授 (60169349)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | いじめ防止対策推進法 / いじめ / 第三者委員会 / 保護者対応 / 重大事態 / 聴き取り調査 / コンプライアンス / 教師の疲弊 / 聴き取り / 学校紛争 / 自殺 / 不登校 / 司法面接 / 保護者対応トラブル |
研究開始時の研究の概要 |
1.全国各地で発生している、いじめ重大事態の報告書の分析を通して、不登校とそれ以外の重大事態別に、第三者委の抱える課題の特質を考察し、1)紛争状態になっているケースでの問題のこじれ方やトラブルの内実、および2)紛争状態になっていないケースの中から、そこでの関係当事者の「納得」のプロセスと、第三者委の果たした役割と重要な留意点の検討をおこなう。 2.第三者委員経験者に対するインタビューや質問紙調査を実施することで、学校-子ども-保護者関係の変容が、どのような困難を生じさせているかを明らかにする。 3.性質がやや類似する学校事故発生時の調査委との比較検討をおこない、第三者委の課題を明らかにする。
|
研究成果の概要 |
1.いじめ防止対策推進法によって、教師の責任領域は膨大に増え続け、意欲の低下を招いている。「被害者主観」を基本とした定義により、子どもの成長に伴う摩擦やトラブルは、すべていじめとなり、話し合いや仲直りが成立しなくなった。加えて、被害者の親と加害者の親が反目しあい、学校を巻き込んだトラブルが多数起きている。 2.報酬が低すぎるため、重大事態に関する第三者委員の選出が停滞している。調査組織の専門性に欠けるケースが目立ち始めた。関係当事者への聴き取りについても、加害者だけでなく被害者側からも拒否される事例が多い。このため報告書は、多くが学校側から出されたデータに基づいて作成される傾向が高くなった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
1.「いじめ防止対策推進法」は、困難状況にある多くの子どもたちを救う面も確かにある。しかし実際には、いじめ認定において「被害者の主観」が最大限に尊重される傾向にあり、被害者への支援と加害者への指導という対峙的措置をとるため、子どもたち当事者間での解決への道筋が閉ざされ、学校で対応が困難となる様々なトラブルが起きる原因となっていることが明確になった。 2.重大事態調査をおこなう調査委員会の報告書も、専門性と客観性が確保されているとは言えないケースも多数見られる。十分に練られた上での議員立法ではない、この法律の数々の問題点を多面的に明らかにすることができ、法改正の必要性を世に問うことができた。
|