研究課題/領域番号 |
19K21765
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
園山 大祐 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 教授 (80315308)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 早期離学 / 中途退学 / 進路選択 / 教育機会 / 不登校 / フランス / ヨーロッパ / 比較国際研究 / 教育社会学 / 比較教育 / 高等教育 / 中等教育 / 復学 |
研究開始時の研究の概要 |
先進国に共通して学校から離れる「不登校」との関係や、家庭背景による経済的要因(貧困)、社会的要因(非行、外国人・移民)、あるいは心理的要因(家庭内暴力、虐待、ネグレクト、障がい)、さらには学業困難な若者への対応が社会格差との闘いとして喫緊の課題となっている。若者の孤立化、社会的紐帯の喪失など長期不安定雇用といった時代に応じた教育として18から24歳を対象に学校や雇用に結びつける方策をEUレベルで検討し、21世紀の学校教育や職業訓練のあり方を検討している。日本の学校教育も、義務教育後の若者の教育訓練の無償化、生涯学習化を検討しなければならない。欧州の20年間の政策実態を基に比較検討する。
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研究実績の概要 |
日本では特に、2016年以降の教育機会確保法の施行から、適応指導教室、不登校特例校および夜間中学校、そしてフリースクールなどが不登校や学校に不適応がある生徒の受入れ先を確保してきた。2022年度はこれらの施設を訪問調査してきた。 この訪問調査を通じて、日本における不登校、中途退学のリスク要因そして、介入や補償教育のあり方について意見交換をすることができた。この知見を、ヨーロッパに広げて、ドイツやフランスにおける状況を調査した。コロナの影響を受けつつも、日本より早くアフターコロナ社会に戻りつつあるため、コロナ以前の早期離学状況から改善が両国ではみられている。フランスにおいては、この3年間で2%以上の数値上の改善もみられ、概ね、早期離学状況は改善され、政策の効果があると考えられる。 他方で、ドイツのような早期分岐型教育制度においても隠れた不登校、欠席児童生徒の問題や、不本意な進路選択の事実が聞かれ、数値には見えない隠れた課題として早期離学問題に対する政策関心あるいは現場の教員の関心があることが聞かされた。 早期離学の問題を直接考えるうえで、教師に関する研究も実施することで、教師の視点から早期離学を生み出す要因、あるいは復学に向けた取り組みに対する考え方について検討を試みてみた(研究成果は以下の書籍にまとめた。『教師の社会学』勁草書房)。特に近年の教師の社会的地位の低下や働き方に関して、実態を明らかにすることで、管理職、教師が生徒を取り巻く学校の環境が悪化している状況について明らかにすることができた。 以上を踏まえた早期離学の日欧における共通課題を見出すことが可能と判断できた。今後はより現場における課題を訪問調査から析出し、国際比較の観点から公教育の課題と若者の進路選択の課題として、異同点を整理したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍海外渡航ができなかったが、22年度は海外調査が実施でき、資料と情報収集等ができたため、一部、論文の執筆ができたため。質的調査を再開することで、さらに研究を発展させることができる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度として、海外調査を実施し、質的調査を実施することで、1次データの分析を深めることが可能となる。またコロナ後の状況など追跡調査を実施することで、パンデミック宣言後の3年間の状況を把握し、この間の早期離学状況についてまとめる予定である。
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