研究課題/領域番号 |
19K21776
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
白松 賢 愛媛大学, 教育学研究科, 教授 (10299331)
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研究分担者 |
長谷川 祐介 大分大学, 教育学部, 教授 (30469324)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 学級経営 / ナラティヴ / 質的調査 / リアリティ / 臨床的教育社会学 / 教師の資本 / 意思決定資本 / 学級経営意識 / 質的調査法 / 教師の成長 / 省察 / 不確実性 / フィールドワーク / 教師 / ナラティヴ理論 / 解釈実践 / 解釈資源 / 学級活動 / ナラティヴ資本 / デジタルエスノグラフィー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、学級経営ナラティヴ分析法を開発し、小学校のフィールドワークを通して、学級経営におけるナラティヴの役割と意義を明らかにする。わかりやすくいえば、学級経営実践を向上するための研究手法の開発であり、小学校の学級を対象に質的調査を行い、「朝の会」「学級活動」等の時間を中心に映像記録し、教師と児童生徒による学級づくりの諸相を、「言葉」「ストーリー」「出来事」に注目して明らかにする。それ以外の時間に起こったエピソードや教師の学級経営観等については、インタビューで記録する。なお、日本の学級経営の特色を明らかにする上で、学級経営意識に関する日台比較補完調査を実施し、総合的な分析を行う。
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研究成果の概要 |
本研究では、学級のリアリティを探究するため、学級経営ナラティヴ分析法を開発し、小学校を対象とした調査を行い、三点を明らかにした。第一に、学級経営における出来事や語りを言語的資源化し、学級の文化や規範をリアリティとして構成する過程が明らかになった。第二に、学級経営のナラティヴ実践に潜む「不安」と「不確実性」が職員室を基盤に構成されるリスクを明らかにした。第三に、学級経営ナラティヴ実践の記述という調査の教育的可能性である。また大学生を対象とした調査では、教員養成に順応している学生ほど、問題のない学級というナラティヴ・リスクを受容していること等を明らかにし、教員養成や学校現場の課題を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、学級経営について多様な言説が分け持たれている現状において、どのような言説を教員志望学生や教員が採用し、どのようなモデルストーリーや実践を構成しているか、を探究する方法を開発した。学級経営に関する臨床的教育社会学アプローチの研究は少なく、この調査方法を用いて、ナラティヴを探究する質的調査の学術的意義を明らかにした。また学級経営に困難や不安を抱える教員は少なくなく、この問題は教員個人の資質能力に起因するのではなく、多様な言説の混在する職員室によって構造的に構成される問題の可能性を示した。この知見をもとに、教員研修の学級経営講座やワークショップを通じて、研究成果の社会的な還元を行った。
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