研究課題
挑戦的研究(萌芽)
環境が小児の健康に及ぼす影響について、GISを用いた研究は見当たらない。その理由として、成人と異なり小児では疾患や死亡をエンドポイントとして健康への影響を検討するのは困難であり、また、現時点では、GISと関連づけるほどの小児の健康情報ビッグデータが利活用できる状況にないからである。研究代表者は10,000名を超える児童・生徒の身体活動と睡眠に関するデータを有している。これまで小児の健康格差については、保護者の学歴・経済的格差など家庭環境の影響を中心に語られてきた。地理環境や社会環境が小児に与える影響を、高いエビデンスレベルにより証明しようとするのが本研究の概要である。
我々は2万名を越える児童・生徒の身体活動、体格および睡眠に関するデータを有している。その中より、小・中学校校区内の地理環境および社会環境を地理情報システム(GIS: geographic information system)を用いて分析した。その結果、校区内にコンビニエンスストアが多いことは、肥満児を増加させることが示唆された。また、貧困度が高い地域の方が、中高強度身体活動(MVPA: moderate-to-vigorous physical activity)が多い傾向を示すが、座位行動 (sedentary behavior)が多いことも明らかとなった。
小児の健康格差については、保護者の学歴・経済的格差など家庭環境の影響を中心に語られてきた。しかしながら、小児は地理環境や社会環境の影響も当然ながら受けている。本研究は子どもを取り巻く地理環境や社会環境について、空間情報を整え解析することにより、社会の様々な問題の理解・解決に貢献することに挑戦した。環境を整備すれば、家庭環境の影響による身体活動や生活習慣を改善させる可能性が示唆され、今後の研究では、地域レベルの要因の効果(文脈効果)について更に検討を加える予定である。
すべて 2022 2021 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
INQUIRY: The Journal of Health Care Organization, Provision, and Financing
巻: 58 ページ: 004695802110556-004695802110556
10.1177/00469580211055626
日本臨床運動療法学会誌,
巻: 21 ページ: 45-51