研究課題/領域番号 |
19K21799
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 京都文教大学 |
研究代表者 |
中島 千惠 京都文教大学, こども教育学部, 教授 (20309107)
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研究分担者 |
服部 美奈 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (30298442)
杉本 均 佛教大学, 教育学部, 教授 (50211983)
石川 裕之 京都ノートルダム女子大学, 国際言語文化学部, 教授 (30512016)
澤野 由紀子 聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (40280515)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 公教育制度 / 学習保障 / 包摂 / ホームスクーリング / 公教育 / 教育の多様化 / インターネット / 義務教育 / 共通の基盤 / 教育機会 / ホームスクール / 就学義務 / オールタナティブ / 多様化 / 統合 / 分断 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、教育を通した共通の基盤を形成していく制度設計にチャレンジし、公教育の新たな段階を模索しようとするものでもある。従来の公教育にはまらない人々の学習保障をどうするか、いずれすべての国で直面する課題であると思われる。しかし、単純な問題ではない。公教育の枠外の人達の現実を受け止め、多様なバックグランドのすべての人に学習機会を保障し、公教育の新しい段階を拓くには、価値観の転換、あるいは新たな価値観の創造が必要だ。アセアン共同体の動きも踏まえながら、日本に今までにない制度を外国の制度の輸入ではなく、日本の公教育の良さを保持したままでいかに創造していけるのか探求し、挑戦する。
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研究実績の概要 |
1.背景をより深く:2023年度は海外調査に行ける者は積極的に実施したが、インターネットで豊富に情報が得られる地域もあり、両面から実態を探った。アメリカではホームスクーリング(以下HS)を選ぶ人達も理由も多様化しており、ほぼすべての人種、特に黒人が増加した。中島は黒人増加の背景にある複雑な社会の実態や葛藤を、また松本はカナダBC州の在宅義務教育実践についてフィールド調査結果を日本比較教育学会第59回大会で報告した。 2.グローバル化する学びの場:コロナ禍の影響もあり、グローバル化が進んでいるのが、初等・中等段階のHSである。多様な児童のニーズを受け、公認・非公認のHSが高等教育のグローバル戦略や保護者の生涯学習とも結びつきながら公教育にもジワリと影響を及ぼしつつある。日本教育学会第82回大会では、生涯学習や高等教育も視野にいれ、HSを通して学びの場のグローバル化や多様化による公教育への影響、意図せざる結果、国家の枠組みから離脱しても結果的に国家の教育枠組みに戻らざるを得ない現実などを日本教育学会のラウンドテーブルで発表した(澤野タイトル提案、インドネシア(服部)、東南アジア(杉本)、韓国(石川)、カナダ(松本)、アメリカ(中島)。 3.学びの場の保障:石川が『現代韓国の教育を知る:隣国から未来を学ぶ』(共編著)で「普通の学校」では満たされない子どもたちの学び」について韓国の状況を伝えた。研究協力者の宮口は、学校外で保障されるべき『最低限の義務教育』の構成について、J.ドワイヤーとE.バーソレのホームスクール制度構想にみる保障原理を吟味した『日本制度学会紀要特別号』。 4.情報提供:研究協力者の松本は、「ホームスクールえひめ」の皆さんを対象にカナダのホームスクーリングについて講演をし、研究成果を通して家庭を拠点として学習する日本の子どもたちや関係者を直接、支援することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(理由1)コロナウイルスの変種により海外調査に行けそうで行きずらい環境が続き、先方のアポイントも取りにくかった。 (理由2)一年研究期間の延長が可能になったことにより、内容の更なる充実を目指し、最終報告書の完成を2025年1月頃に延期した。 (理由3)2023年1月頃から2024年5月上旬にかけて研究代表者や研究分担者の異動があり、研究室の移動、諸々の書類作成提出など、物理的に研究に集中できない期間が3か月ほど続いたため。
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今後の研究の推進方策 |
各国におけるホームスクーリングの動向も含め、最終報告書を作成する予定であったが、もう一年、研究期間を延長することができたので、国際的な動向も含め、2024年度に内容の充実を図ることにした。国によって程度や具体的な施策は異なるが、ホームスクーラーも包摂しながら公教育がシフトしつつある様子、そしてその変化の中で学習権の保障がどのように展開しているかなど、まとめる予定である。公教育がシフトしつつある様子に関する国際比較については、2024年7月に国際学会での発表も予定している。 また、過年度(2023年度)に実施した日本教育学会のラウンドテーブルにおける発表も文章化したいと考えている。最終報告書の完成も目指す。
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