研究課題/領域番号 |
19K21806
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山田 一夫 筑波大学, 人間系, 教授 (30282312)
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研究分担者 |
一谷 幸男 筑波大学, 人間系(名誉教授), 名誉教授 (80176289)
小澤 貴明 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (90625352)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | ラット / 環境エンリッチメント / 社会的記憶 / 物体再認記憶 / 海馬 / グルタミン酸受容体 / アデノシン受容体 / 社会的エンリッチメント / 飼育環境 / 社会的再認記憶 / 養育環境 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,幼少期の社会的エンリッチメント環境(多頭飼育)が,その後のラットの社会的・非社会的記憶能力にどのような影響を及ぼすのか,またそれに関わる神経メカニズムを解明することを目的とする。実験1では自発的物体・社会的再認記憶課題を用いて離乳直後からの多頭飼育がラットの記憶容量に及ぼす影響を検討する。実験2では,記憶負荷が異なる場合の物体・社会的再認記憶に関与する脳部位をc-Fos免疫陽性細胞の観察により特定する。実験3では薬理遺伝学的手法を用いて,実験2で特定された脳部位の神経細胞を活性化あるいは抑制することで,物体・社会的再認記憶にどのような影響をみられるのかを検討する。
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研究成果の概要 |
複数の物体を同時に提示する自発的物体再認課題(DOT)を改良した社会的弁別課題を用いて,飼育環境が社会的記憶能力に及ぼす影響とそれに関わる脳部位について検討した。その結果,(1)飼育環境は非社会的記憶能力には影響しないが,社会的記憶には影響し,多頭飼育が社会的記憶能力を増強すること,(2) 海馬の背側歯状回は社会的記憶よりも文脈情報の処理に関与し,CA2領域は社会的記憶の形成に寄与していること等が明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
集団の中で常に他者との関係性を維持しながら生きていく我々人間にとって,他者の記憶ともいえる社会的記憶は,健康的な生活を送る上で非常に重要な機能である。しかしながら,我々を含めてこれまで数多く行われてきた記憶研究において,社会的記憶に焦点を当てたものは数少なく,養育環境が社会的記憶に影響を及ぼすこと及び社会的記憶形成にも海馬の一部が関与していることを明らかにした本研究の成果は,認知症などにみられる社会的健忘の治療だけでなく効果的な予防法の開発につながることが期待できる。
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