研究課題/領域番号 |
19K21813
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
明和 政子 京都大学, 教育学研究科, 教授 (00372839)
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研究分担者 |
田中 友香理 関西大学, 心理学研究科, 特別研究員(RPD) (00794075)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 身体感覚 / 発達 / 乳児 / 内受容感覚 / 社会的相互作用 / 相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
深層学習に基づく人工知能(AI)の急激な発展は,実世界と仮想世界とが交錯する新たな時空間を生みだしつつある.しかし,身体をもつ生物は,臓器や自律神経系など身体内部の状態を知覚(内受容感覚)し,それを安定・維持させる処理を外受容感覚と統合することで環境適応している.特にヒトにとっての内受容感覚と外受容感覚の統合は,主観的な感情の気づきをもたらす点できわめて重要である. 本研究では,ヒト乳児を対象に,対人相互作用時の身体接触を実験的に操作し,外受容―内受容感覚統合の発達機序を解明する.本研究は,ヒトが真に信頼でき,ヒトと共生可能なロボット開発には何が必要かを再考する上で重要な役割を担うものである.
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研究成果の概要 |
本研究は、対人相互作用における内受容-外受容感覚の統合の発達プロセスを実証的に明らかにするため、生後5-9か月のヒト乳児を対象として、脳波・心電図を同時計測した。その結果、以下の2点が明らかとなった。(1)触れられながら他者の顔を見る経験は、乳児の内受容―外受容感覚の神経処理を活性化した。(2)乳児の内受容感覚の個人差は、(1)と正の相関を示した。これらの成果は、相互作用時における触覚経験が、乳児期の内受容感覚―外受容感覚の統合を促す可能性を示している。本研究の成果は、生後早期の脳発達における他者との身体感覚経験(触れ合い)の重要性を示唆するものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、身体-環境の相互作用で得られた知覚情報(外受容感覚)は,身体内部情報の知覚(内示受容感覚)と統合されることによって初めてヒトを特徴づける精神機能,たとえば感情(主観的な気づき)が生みだされること、さらに、その発達には、生後早期からの他者との触れ合い(タッチ)が重要な役割を果たすことをエビデンスに基づき示唆するものである。今後いっそうサイバー空間がヒトの日常生活の多くを占めることになるとみられるが、本研究の知見は、サイバー空間で得られる外受容感覚に限定された他者との相互作用経験が、成人だけではなく、発達早期のヒトの脳機能発達に与える影響を科学的に検証する必要性を明確に示している。
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