研究課題/領域番号 |
19K21818
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
伊澤 栄一 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (10433731)
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研究分担者 |
川合 伸幸 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (30335062)
池田 譲 琉球大学, 理学部, 教授 (30342744)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | 身体性 / 身体操作 / 道具使用 / 鳥類 / 霊長類 / 頭足類 / 比較認知 / 到達運動 / 身体延長 |
研究開始時の研究の概要 |
150万年前に起源をもつ道具使用は,ヒトの認知・行動の進化に大きく影響したと考えられ、私たちのこころの起源を解明する根幹の1つである。道具使用は、道具を身体の延長として知覚し、操作する「感覚-運動協調」能力に支えられている。従来、この能力は道具を安定して握る効果器(手など)をもつ動物のみが対象であった。しかし、研究代表者が鳥類研究で開発した人工嘴を用いることで、他の動物種でも身体の延長能力を検討することができる。本研究では、鳥類(カラス、ハト)、頭足類(タコ・イカ)、霊長類(ニホンザル、マーモセット)を対象に、人工身体装着に対する感覚‐運動調整の能力を比較し、「身体拡張性」能力の進化起源を探る。
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研究成果の概要 |
ヒトには道具使用など拡張した身体を操作する身体拡張能力が進化している。ヒト以外の動物の身体拡張能力は霊長類以外では検証されてこなかった。本研究では,身体拡張能力の基礎となる効果器(手や嘴)の運動制御メカニズムを鳥類および頭足類を対象に調べた。鳥類を対象とした実験では,カラスが首を伸ばし嘴で餌をつかむ運動を詳細に解析した結果,数十ミリ秒の短い時間で視覚情報をもとに行動を調整できる高速かつ柔軟な運動制御能力をもつことが判明した。頭足類を対象とした実験では,タコの腕の詳細な解剖学的解析によって,腕のつけ根から先端の位置によって機能が異なる可能性が見出され,効果器の運動制御能力の高さが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ヒトは,道具使用にみられる拡張された身体を制御する能力に長けている。この能力は霊長類以外の動物では検証されてこなかった。本研究では,霊長類以外の動物を対象にした身体拡張性の検証というユニークかつ斬新な試みを行った。身体拡張性の基礎となる到達把握運動に焦点を当て,鳥類カラスが動く餌を掴むという短時間の中で,視覚を用いた高速運動制御が行われていることが判明した。頭足類タコの腕の解剖学的解析によって,柔軟な動きを可能にする特徴的形態が判明した。本研究を今後さらに展開し,ヒトとヒト以外の動物との比較によって,私たちヒトの際立った身体拡張性の進化起源の理解へとつながることが期待される。
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