研究課題/領域番号 |
19K21830
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分11:代数学、幾何学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大槻 知忠 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (50223871)
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研究分担者 |
古田 幹雄 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (50181459)
小島 定吉 早稲田大学, 理工学術院, その他(招聘研究員) (90117705)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 結び目 / 3次元多様体 / 不変量 |
研究開始時の研究の概要 |
3次元多様体の分類問題は、1970年代以降の幾何化予想のプログラムの進展の帰結として、3次元双曲多様体の分類に帰着される。一方、1980年代に数理物理的手法がトポロジーに導入され、3次元トポロジーには量子不変量が、4次元トポロジーにはゲージ理論がもたらされた。この両者は不変量の圏化によって関連づけられる。また、3次元双曲多様体の量子不変量のある種の漸近挙動に双曲体積が現れることが予想されている(体積予想)。この漸近挙動には、最近導入された不変量である3d-indexが関連することが期待されている。本研究では、これらを手がかりにして、「3次元双曲多様体の量子トポロジー」を創出することをめざす。
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研究実績の概要 |
結び目の Kashaev 不変量と双曲体積を関連づける体積予想は、量子トポロジーと双曲幾何をむすびつける懸案の予想であり、最近15年間 世界的にこの分野の中心的な話題となってきた重要な予想である。筆者は、7交点以下の双曲結び目に対して、Kashaev 不変量の漸近展開を精密に計算し、その最初の項に双曲体積が現われることを証明した。これは、この結び目に対して、体積予想が証明されたことを意味する。また、3次元多様体の量子不変量の漸近展開に双曲体積が現れることを主張する「3次元多様体の体積予想」も近年定式化されており、8の字結び目を整数係数手術して得られる3次元双曲多様体に対してこの予想が成立することを筆者は証明した。これらの漸近展開は、Chern-Simons理論の非自明平坦接続における摂動展開に関連することが期待され、これと関連するとおもわれる3次元双曲多様体の 3d-index の挙動について筆者は調べており、これについて論文を執筆し、ジャーナルに投稿中である。また、筆者は量子不変量に関する著書も出版した。 筆者は、2023年5月に数理解析研究所において研究集会「Intelligence of Low-dimensional Topology」をハイブリッド型で開催した。この研究集会において、筆者は未解決問題集を編集した。また、この研究集会の報告集を数理研講究録として出版した。この研究集会は、筆者や研究分担者との共同研究をすすめるにあたって、また、大学院生等の若手研究者との研究交流の面からも、大変有益であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
筆者は、2023年5月に数理解析研究所において研究集会「Intelligence of Low-dimensional Topology」をハイブリッド型で開催した。この研究集会において、筆者は未解決問題集を編集した。また、この研究集会の報告集を数理研講究録として出版した。この研究集会は、筆者や研究分担者との共同研究をすすめるにあたって、また、大学院生等の若手研究者との研究交流の面からも、大変有益であった。 結び目の体積予想と3次元多様体の体積予想の漸近展開は、Chern-Simons理論の非自明平坦接続における摂動展開に関連することが期待され、これと関連するとおもわれる3次元双曲多様体の 3d-index の挙動について筆者は調べており、これについて論文を執筆し、ジャーナルに投稿中である。また、筆者は量子不変量に関する著書も出版した。
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今後の研究の推進方策 |
筆者は、2024年5月に数理解析研究所において研究集会「Intelligence of Low-dimensional Topology」を開催する予定である。 また、結び目の体積予想と3次元多様体の体積予想の漸近展開について、研究をすすめる。この予想の数理物理的背景は、SL(2,C) Chern-Simons 理論であり、数理物理的には、量子不変量を与える経路積分に対して、SL(2,C)接続の空間の中で、非自明平坦接続において、形式的に鞍点法を適用することにより、体積予想が導出される。このことは、体積予想の漸近展開の高次の項に未知の不変量が現われることを示唆しており、3次元双曲多様体の 3d-index と関連して、これについて研究をすすめる。
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