研究課題/領域番号 |
19K21835
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分12:解析学、応用数学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
高橋 博樹 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (00467440)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 力学系 / エルゴード理論 / 双曲性 / エノン写像 / 漸近双曲性 / 単峰写像 / 可算マルコフシフト / ロジスティック写像 / Palis予想 |
研究開始時の研究の概要 |
力学系の不変集合やパラメータ空間をパズルピースと呼ばれる小部分に分解し、それらの間の関係の記述に基づき大域的な構造を捉える。与えられた力学系をパズルピースに分解するためには、力学系の一様双曲性が破綻する「力学系的臨界点」を明示し、それを用いて全体の統制を行う必要がある。最初から一般の力学系を考察することは困難が大きいので、まず具体例の考察から開始する。Henon写像については、研究代表者がすでに漸近双曲性を持つパラメータの存在を示し、力学系的臨界点も明示した[H. Takahasi, arXiv:1308.4199]。これらのパラメータでパズルピースの構成を試みる。
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研究成果の概要 |
単峰写像や可算マルコフシフト、ヘテロカオス・ベーカー写像などの一様双曲性を持たない力学系について、大偏差原理、熱力学形式、マルチフラクタル解析などに基づくエルゴード理論的な研究を行い、いくつかの有望な成果が得られた。これらの成果を非双曲的なエノン写像の解析に本格的に繋げることはまだできていないが、少なくとも最初の分岐パラメーターのエノン写像の解析に繋げるための手がかりは徐々に得られつつある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
一様双曲性を持たないエノン写像の解析に端を発した本研究であったが、本研究期間内では、エノン写像自体の研究よりもむしろ、その周辺の他の重要な力学系の研究に大きな進展があった。これらの成果はそれ自体で意義が深いだけでなく、今後にエノン写像の力学系の解析を進める上で重要な手がかりを与えることになると期待される。また、本研究費を用いて2023年8月主催した国際研究集会「KiPAS Dynamics Days」では国内外から述べ100名以上の参加があった。本研究集会に参加した若手研究者と海外の研究者の間での共同研究も始まりつつあり、我が国の力学系理論のレベルアップに貢献できた意義は大きい。
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