研究課題/領域番号 |
19K21844
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
伏屋 雄紀 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (00377954)
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研究分担者 |
勝野 弘康 北海道大学, 低温科学研究所, 博士研究員 (70377927)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | チューリング・パターン / 反応拡散方程式 / 非平衡非線形現象 / ビスマス / 原子層 / 結晶成長 / パターン形成 / 理論物質科学 / ビスマス単原子層 / 創傷治癒 / 反応-拡散方程式 / チューリングパターン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,最近実験的に報告された奇妙な結晶表面模様の機序をチューリングパターンの観点から解き明かすものである.チューリング理論は元来生物の模様を理解するための理論である.固体物理学,結晶成長分野においてチューリング理論に基づいた研究は全くなく,本研究が最初の一歩を踏む.生物学や地形学など,マクロな世界が対象であったチューリング理論に,量子論に基づくミクロな世界を初めて導入する.これが成されれば,量子の世界と生物,地形をつなぐかつてない長大なスケールに渡る統一理論となる.
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研究成果の概要 |
形態形成におけるチューリングの反応拡散理論は,生物学や化学におけるマクロなパターン形成については非常な成功を収めてきました.しかし,原子レベルのスケールにおいてチューリング・パターンが存在するのか否かについては,全く未解明でした.本研究では,ビスマス原子1個分の厚さの単原子層がチューリング・パターンを形成することを明らかにしました.三体までの原子間ポテンシャルから構成された微視的有効模型を基に時間発展方程式を導き,ビスマス単原子層で観測された奇妙な模様がチューリング・パターンであることを解析的にも数値的にも証明しました.これにより,世界最小のチューリング・パターンの発見が確立されました.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生物学や化学における従来のチューリング・パターンは,小さくとも数分の 1 mm 程度でした.しかし本研究によって,これまでのスケールより一気に7桁も小さい原子スケールでもチューリング・パターンが発現することが明らかとなりました.今回の発見は,これまで生物学や化学で考えられてきたよりもずっと多くの対象でチューリング理論が成り立つことを強く示唆しています.本成果は,非平衡・非線形現象の研究に新たな方向性をもたらすもので,非常に高い学術的意義があります.また,新しいナノデバイス設計に向けて,オンデマンドでパターンを制御し,作製できる道が拓けたことで,社会的意義も高い成果です.
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