研究課題/領域番号 |
19K21846
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岡本 佳比古 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (90435636)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | 超伝導 / トポロジカル物性 / ノーダルリング半金属 / トポロジカル超伝導 / トポロジカル半金属 / ディラック電子系 |
研究開始時の研究の概要 |
波数空間において円環状に繋がったディラック点:ノーダルリングをもつ物質系においてトポロジカル超伝導の発見を目指す。最近、ノーダルリング半金属候補物質CaAgX (X = P,As)の理論研究により、キャリアドープしたノーダルリング半金属に現れる超伝導がゼロでないトポロジカル不変量をもつトポロジカル超伝導であること、表面に二次元カイラルp波超伝導が現れることが指摘された。本課題では、化学置換により系統的にキャリア数を制御したCaAgX単結晶・ノーダルリング半金属を実現する新物質の合成と、0.1 Kに至る低温物性測定により、キャリアドープしたノーダルリング半金属における超伝導転移を発見する。
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研究成果の概要 |
波数空間において円環状に繋がったディラック点:ノーダルリングをもつ物質系におけるトポロジカル超伝導の発現を目指した。様々な元素を置換したCaAgP単結晶を合成し、低温物性の測定を行った結果、Pd置換したCaAgPにおいて約1.5 Kにおける超伝導転移を発見した。Pd置換したCaAgPでは極めて高い移動度をもつ電子キャリアが存在するため、ノーダルリング半金属がもつトポロジカルな表面状態と超伝導の関連が興味深い。また、元素置換したTa2Pd3Te5と、Nb2Pd3Te5の多結晶試料が2から4 Kでバルク超伝導転移を示すことを発見した。スピンホール絶縁体や励起子絶縁体の物理との関連が興味深い。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究におけるPd置換したCaAgPにおける超伝導の発見は、これまでにないノーダルリング系ならではのトポロジカル物性の実験的な確立や、実験可能なトポロジカル超伝導の新候補物質の実現に繋がりうる成果であり、物性物理の基礎学理の観点から学術的意義を有する。また、元素置換したTa2Pd3Te5とNb2Pd3Te5は励起子絶縁体やスピンホール絶縁体に関連がある物質系で発見された新超伝導体である。これらの特異な物理現象と超伝導の関係を明らかにし得る格好の系といえ、こちらも物性物理の基礎学理の観点から十分な学術的な意義を有すると考える。
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