研究課題/領域番号 |
19K21847
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 憲昭 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30170773)
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研究分担者 |
壁谷 典幸 東北大学, 理学研究科, 助教 (70633642)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2019年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | フラクタル超伝導 / 準結晶 / 近似結晶 / 超伝導 / 電気伝導 / 価数揺動 |
研究開始時の研究の概要 |
準結晶は通常の周期結晶とは異なった対称性を有しているため、準結晶特有の物性が発現すると期待されている。しかしながら、準結晶特有の性質は殆ど未解明であり、準結晶が超伝導になりえることが分かったのもごく最近のことである。本研究では、準結晶で発見された超伝導(フラクタル超伝導)が、従来の超伝導と異なるかを明らかにする。また、その超伝導発現メカニズムの解明を目指す。これらの目的を遂行するためには、常伝導状態の物性を明らかにすることも重要である。例えば、準結晶に特有の原子多面体構造とその準周期的配列が果たす役割を区別する必要がある。本研究ではこの問題の解明も目指す。
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研究成果の概要 |
本研究課題の目標は、準結晶超伝導、即ち“フラクタル超伝導”の特性解明である。研究対象は、現時点で唯一の超伝導準結晶Al-Zn-Mgである。超伝導発現機構に関しては、同位体効果等の直接的な証拠はないが、近似結晶も準結晶と類似の超伝導を示すことから、周期結晶と同じようにフォノン媒介超伝導の可能性が高いと考えられる。ただ、フェイゾン機構等の準結晶特有の可能性を完全に排除できるかについては、更なる研究が必要である。Al-Zn-Mg準結晶より転移温度の高い超伝導準結晶の探索は成功には至らなかったものの、新型の超伝導近似結晶を発見した。準周期性と超伝導転移温度の相関の解明は今後の課題である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
周期結晶やアモルファスにおいては、超伝導を示す物質が数多く発見されてきている。しかし、準結晶においては、これまで1つの例も見いだされていなかった。2018年、本研究代表者らは準結晶初となる超伝導体を発見した。このフラクタル超伝導が従来の超伝導と何処が異なるのかを明らかにすることが本研究課題の目標である。理論が予想するように、フラクタル超伝導が従来の超伝導と質的に異なることが実証されたならば、超伝導研究に大きな変革がなされると期待される。これまでのところ、準結晶特有の超伝導性は見いだされていないが、フラクタル超伝導の解明は学術的意義が高いため、更なる探求が必要である。
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