研究課題/領域番号 |
19K21856
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
白濱 圭也 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70251486)
|
研究分担者 |
石黒 亮輔 日本女子大学, 理学部, 准教授 (40433312)
永合 祐輔 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 助教 (50623435)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | 物性物理 / 量子流体固体 / 超流動 / 低温物性 / フォノン / 非平衡 / 水素 / ヘリウム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は多様な原子分子の薄膜を超流動化する新しい方法を確立し、物理学の発展に資する。固体基板に吸着した水素やネオン薄膜に超高周波フォノンを照射して流体的励起状態に遷移させ、非平衡下でボース凝縮やBCS転移即ち超流動を起こす。薄膜の励起には超伝導トンネル接合を利用し、0.1THz程度のフォノンパルスを生成して吸着基板に照射し、励起粒子が基底状態に戻る時間内に超流動を観測することを目指す。この方法で熱平衡では実現不可能な超流動状態や構成粒子が内部構造を持つ新規超流動を実現できる。またレーザー冷却が困難な分子や、C60のような重い分子の超流動を実現し、非平衡超流動薄膜による新物理を開拓する。
|
研究成果の概要 |
本研究は、様々な原子分子の吸着薄膜にフォノンを照射して非平衡超流動状態を実現し、物理学の発展に資することを目的とする。薄膜が吸着した固体基板に100GHz程度の超高周波フォノンを生成し、薄膜を局在状態から空間的に広がった励起状態に遷移させる。フォノン生成には超伝導トンネル接合を用いる。本研究ではNb-AlOx-Nb超伝導トンネル接合素子を作成しその電流電圧特性を調べて素子の改善を進めるとともに、2つの接合を貼り合わせることでフォノンの生成と検出を試みた。フォノン生成を示唆する信号が得られているが測定上の問題から完全な同定には至っていない。今後装置の改良を進め、非平衡超流動状態の実現を目指す。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
超伝導は発見から1世紀を経てもなお量子技術への応用等で物理学の最先端で研究されている。超流動は超伝導と酷似した現象で、同じ物理的機構で生じるが超流動を示す物質は非常に少ない。また、光で非平衡超伝導を誘起する研究が、新奇超伝導状態を得る手法として注目されている。本研究は、本来超流動を示さない物質に外場を与えることで非平衡超流動を実現する野心的な試みであり、超流動が実現した場合その学術的価値は極めて高い。特にトポロジカル超流動などの新奇な超流動の発現が期待され、新しい物理概念の発展に貢献すると期待される。また水素等の分子薄膜の吸蔵・輸送特性の解明にも役立ち、燃料貯蔵などの工学応用も期待できる。
|