研究課題/領域番号 |
19K21871
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分14:プラズマ学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
加藤 進 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (20356786)
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研究分担者 |
佐々木 明 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, 専門業務員 (10215709)
高橋 栄一 日本大学, 生産工学部, 教授 (90357369)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 逆制動輻射 / 多光子吸収 / 電子散乱 / 連続光スペクトル / レーザーブレイクダウン / 粒子シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
通常,レーザー光の光子エネルギーは希ガスや空気の電離エネルギーに比べて十分小さい.このとき,絶縁破壊(ブレイクダウン)は,多光子吸収で発生した電子が逆制動輻射でエネルギーを吸収,電子衝突電離を繰り返し,電子なだれに至ることが原因と定性的には理解されている.しかし,現在でも定量的な実験結果の予測には至っていない. 本研究では,レーザーブレイクダウンでは,電子は光子エネルギーを単位として光を吸収し,重い粒子との多数回の衝突でエネルギーを失う前に,再び光子を吸収するラッキーな衝突を繰り返した電子の寄与が重要と考え,電子なだれ過程を再構築し,しきい値がゆらぐ原因になるラッキーな衝突の発生確率を求める.
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研究実績の概要 |
レーザーブレイクダウンを引き起こす電子衝突電離に関与する電子は,バルクの平均的エネルギーを持つ電子ではなく,電離エネルギーを越える高エネルギーテールの電子である.理論およびシミュレーションモデルを用いてレーザー照射下での高エネルギーテール成分を持つ電子分布関数を決定することが,本研究の目的の一つである.しかし,モデルを検証するために実験的に電子分布関数を決定することは困難であるため,実験では分布関数から決定される電子なだれの増幅係数を指標にする.加えて,大気圧プラズマで発生する連続光スペクトルから電子分布関数を予測する手法のレーザーブレイクダウンプラズマへの適用可能性について調べる.
これまで,実験的に電子なだれの増幅係数を正確に求めるためには,自然に存在する種電子数の影響を取り除く必要があると考え,ナノ秒YAGレーザーの光をガスチャンバー内に設置した電極間に集光する実験を行い,電極間に印加する電圧を制御することにより,印加電場によるドリフトで照射領域から電子を除去することで,電子なだれの増幅係数の絶対値評価を試みた.電子分布関数に対するボルツマン方程式の2項展開モデルから求まる電子増幅係数と電子移動度を用いたゼロ次元の電子増幅モデルを作成し,実験で得られた印加電圧を増加に伴うブレイクダウンに必要となるレーザーエネルギーが増大および飽和する結果を定性的に説明できることを示した.
大気圧プラズマでは,実験で得られた連続光スペクトルから電子分布関数を推定する手法が確立されている.多光子課程の影響を考慮した電子分布関数に対するシミュレーションモデルの開発を進めるとともに,その手法を用いるために,電子分布関数からアルゴンプラズマで発生する連続光スペクトルを予測するプログラムの改良を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多光子遷移確率に基づくモンテカルロ粒子シミュレーションの開発が完了しておらず,電子分布関数から予想される連続光スペクトルを評価し,電子なだれの増幅係数に対する多光子遷移の影響を評価するまでには至らなかった.
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今後の研究の推進方策 |
多光子過程の遷移確率を使ったモンテカルロ粒子シミュレーションコードと大気圧プラズマで発生する連続光スペクトルから電子分布関数を予測するプログラムを引き続き開発し,電離に寄与する高エネルギーテールの多光子遷移の影響を明らかにする.これまで,高エネルギーテールの指標としていた電子増幅係数に加えて,連続光スペクトルからも電子分布関数を予測する.
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