研究課題/領域番号 |
19K21874
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
福嶋 健二 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (60456754)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 相対論的回転 / クォーク閉じ込め / 量子色力学 / カイラル対称性 / QCD相図 / 強磁場 / クォーク / グルーオン / 相対論的回転効果 / スピン流体力学 / 高密度物質 / クォーク物質 / スカーミオン / スカーミオン結晶 / 相転移 / 回転系 / スピン / ハドロン物質 / エネルギー運動量テンソル / 相対論的流体方程式 / カイラリティ / 電磁場中のフェルミオン / カイラル磁気効果 / カシミア効果 / カイラル物質 / 量子異常 |
研究開始時の研究の概要 |
磁場をかけると物体が回転する現象はアインシュタイン・ドハース効果と呼ばれ、100年を超える研究の歴史がある。また逆に回転する物体に磁化が生じる現象はバーネット効果と呼ばれ、理論的・実験的に詳しく研究されてきた。これらの効果は、スピンと軌道角運動量が相互作用により混じり合うことで磁化が回転に転換したり、またその逆のプロセスとして理解される。ところが相対論的な物理系では、スピンと軌道角運動量の分解そのものが非自明である。そこで本研究では、これらの効果の理論的な枠組みについて、相対論的な拡張を目指している。
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研究成果の概要 |
強い相互作用をする物理系、より具体的にはクォークとグルーオン、またそれらの束縛状態であるメソン、バリオンの高温状態が、超高速で回転している場合に、相転移に与える影響を理論的に解析した。その結果、質量の起源であるカイラル相転移だけでなく、物質の成り立ちにとって本質的である閉じ込め・非閉じ込め相転移に対しても、回転は相転移温度を押し下げることを確認した。また計算ステップで虚数角速度を導入する必要があり、虚数回転している場合には高温極限の弱結合であっても常に閉じ込めが成立していることを示すことができた。これは全く新しい閉じ込め機構の発見である。挑戦的萌芽研究にふさわしい成果を上げることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
回転は身近な現象である。しかし決して易しい学問対象ではない。その理由は、特に高速回転は、一般相対論的な効果だからである。我々は高温グルーオン物質に対して回転の効果を取り入れたが、非アーベル的なゲージ場およびゴースト場が混在するような状況で、正しく回転を取り入れた計算は、手本とすべき先行研究もなく、まさに萌芽的な研究そのものだった。我々の結果は原子核がずれ衝突する場合や、回転する中性子星などに応用できるものであり、なおかつ基礎科学研究としても、カラー閉じ込めという未解決問題に果敢に挑む新たな切り口を提供することができた。単に計算して結果を出しただけでなく、新しい考え方を切り拓くことに成功した。
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