研究課題/領域番号 |
19K21876
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
清水 裕彦 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (50249900)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 中性子光学 / 中性子反射光学 / 熱外中性子 / 中性子回折 / 精密加工 / 反射光学 |
研究開始時の研究の概要 |
J-PARCのパルス中性子源の稼働によってもたらされた熱外中性子の利用を実用的な水準に引き上げるために、熱外中性子の反射光学系を実用化することを目的として、平坦度が高く再現性の良い中性子ミラーの製作及び評価技術を研究する。 さらに中性子反射臨界角の増大を目指して、核ポテンシャル散乱項と熱外領域特有の複合核共鳴項との量子力学的干渉項の利用の可能性を研究する。熱外中性子反射光学の実用化によって、熱外中性子を利用した物質科学や産業利用における新手法開拓や複合核状態を利用した素粒子物理学における新物理探索などの重要な可能性を開拓することを目指す。
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研究成果の概要 |
中性子の物質表面における全反射は、熱中性子や冷中性子あるいはそれよりも低速の中性子の光学的制御に用いられ、中性子利用効率の大幅な向上に寄与している。大強度スパレーション中性子源の稼働により熱外中性子ビームの本格的利用が進んでおり、熱外中性子の全反射光学の実用化が望まれる。本研究では、J-PARC MLFにおいて、単結晶シリコンによる中性子回折を用いて77meVから695meVのエネルギー範囲の平行中性子ビームを用意し、多層膜中性子ミラーによる鏡面反射を実測した。これによって、中性子全反射光学系の適用範囲は、500meVを超えて、近熱外中性子領域に拡張された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で近熱外中性子の全反射が実測されたことにより、中性子の物質表面における全反射が物質表面が完全な平面である限り、表面法線方向の中性子速度成分が物質固有の臨界速度に比べて小さい範囲において、入射中性子のエネルギーに依存せずに生じることが実証された。同時に、現在の精密機械加工の水準で問題なく近熱外反射光学を構成できることが実証され、熱外中性子を用いた中性子吸収による複合核過程を利用した基礎物理研究、熱外中性子非弾性散乱にによる物性物理あるいは化学研究における利用の拡大を図ることが可能となった。
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