研究課題/領域番号 |
19K21881
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
平野 哲文 上智大学, 理工学部, 教授 (40318803)
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研究分担者 |
藤井 宏次 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (10313173)
村瀬 功一 上智大学, 理工学部, 研究員 (00834095)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 揺らぎの定理 / 相対論的揺動流体力学 / 一般化された揺動散逸関係 / クォークグルーオンプラズマ / 因果律 / QCD相転移 / 高エネルギー原子核衝突反応 / 相対論的流体力学 / 揺動散逸関係 / 揺らぐ流体 |
研究開始時の研究の概要 |
宇宙の始まりに存在した極限物質「クォークグルーオンプラズマ」の物性を研究する目的で高エネルギー原子核衝突実験が行われてきており、その実験結果を解釈する上で相対論的流体力学が重要な役割を果たしてきた。近年は時空の各点で熱揺らぎの影響を取り入れた「揺らぐ流体力学」が発展しているものの、非平衡統計力学における「揺らぎの定理」との関連は自明ではなかった。そこで本研究課題では、揺らぎの定理と矛盾しない「揺らぐ相対論的流体力学」の構築を目指す。非平衡統計力学の発展と素粒子原子核物理学の発展の交差する学際的課題として位置づけられ、クォークグルーオンプラズマ物性の理解を促進することを目指している。
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研究成果の概要 |
非平衡統計物理学における金字塔の一つである「揺らぎの定理」を、背景が膨張しつつ局所熱平衡が保たれる系に適用し、その成果を高エネルギー原子核衝突反応に適用を目指した。まず同じ方程式系としてより簡単な記憶効果を含むランジュバン系と熱揺らぎを含むLCR回路系の解析を行った。特に流体揺らぎと臨界揺らぎが一次元膨張系における定式化を行い、その因果的なダイナミクスを記述した。また一般化された相対論的流体方程式に対して、流体揺らぎからくる制限を議論した。これらの系において「揺らぎの定理」を満たすために、膨張の影響を含む一般化された揺動散逸関係が必要であることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
非平衡統計物理学の揺らぎの定理において揺動流体を扱う例はそれほど多くない。研究代表者らは高エネルギー原子核衝突反応におけるクォークグルーオンプラズマ流体を扱う中で、この系における揺らぎの定理の適用可能性に先鞭をつけ、学際的な領域の研究を進めた。今後、相対論的揺動流体力学が高エネルギー原子核衝突反応のダイナミクスを記述するうえで中心になるにあたり、その基礎的な土台の一部を築いたという意味で意義がある。
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