研究課題
挑戦的研究(萌芽)
従来の古典的な化学進化説では,小分子から少しずつ大きな分子が生成し,その後,機能が創出したと想定されてきた。本研究では,単純な分子の混合物に高エネルギー付与と急冷により微弱な化学機能をもつ多様な分子(がらくた分子)が一挙に生成し,その進化・選択により微弱な生命機能を有する分子群が生成するというシナリオ,「がらくたワールド説」の実験的検証を行う。一酸化炭素・アンモニアなどの模擬星間物質や模擬原始大気に粒子線を照射した時に生じた高分子態複雑分子(がらくた分子)の機能を調べ,それが種々の宇宙地球環境下で変成を受けた場合の機能の進化を調べる。
従来の化学進化仮説においては小分子から徐々に大きい分子が生成するとされてきた。本研究では,宇宙線などによりまず高分子態有機物(がらくた分子)が生じ,これが有する微弱な生化学的機能が進化することにより生命が誕生したとする「がらくたワールド説」の検証を行った。分子雲を模擬した実験により分子量数百から数千の高分子態有機物(がらくた分子)が生成した。がらくた分子はアミノ酸前駆体を含み,また宇宙環境で安定であることが室内実験・宇宙実験でわかった。がらくた分子は微弱ながらエステラーゼ活性を有した。がらくたワールドのさらなる検証のためには,太陽系天体の探査が必要であり,その方法も考察した。
生命の起源研究は,オパーリンらによる化学進化仮説が有力で,1950年代以降は実験による検証も多数行われてきた。それらの前提として,まずは小分子が生成し,それらが徐々に繋がって大きい分子になったとする段階的生成説が主流であった。本研究において,高エネルギー粒子線が小分子に作用した場合に,分子量数千の有機分子が生成し,その中にアミノ酸前駆体や触媒機能を有する分子が含まれていることが証明された。このような高分子態有機物(がらくた分子)を経由する生命起源説はこれまでなく,生命起源研究にあらたな方向を示すものといえる。
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