研究課題/領域番号 |
19K21907
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
廣瀬 丈洋 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 研究所長 (40470124)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 地震 / 断層 / 水 / 流速 / 強度回復 / 固体接触 |
研究開始時の研究の概要 |
物質の強度が時間と共に大きくなる現象は、固体と固体の微小な接触域が圧力溶解などのメカノケミカル反応によって固着し、接触面積が増加することに起因する。長期間放置されたタンスの方が、移動させる際にすべらせることが難しくなるのも同じメカニズムである。本研究では、これまで実験が困難であった水の流れがある条件で「すべり-固着-すべり」を繰り返す実験(フローSHS試験)に挑戦する。そして、固着時に進行する接触域の微小変形によって、摩擦強度回復がどの程度変化するのかいうことを実験によって詳細に調べる。さらに、接触域の微細変形組織観察を行い、流れ環境下での固体接触域の物理化学プロセスの解明を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、「水の流れが断層の強度回復(断層シール効果)を抑制する」という仮説の検証を、流速環境を再現する摩擦実験システムによって検証することを試みた。すべり-固着-すべりを繰り返す実験手法(フローSHS試験)をまず確立し、その手法を用いた粉砕砂岩の実験から、(1)流速の上昇に伴って見かけの断層強度の回復は妨げられること、(2)有効垂直応力を考慮した有効摩擦強度の回復挙動は流速に依存しないことがわかった。自然界の水の流れがある環境での断層強度回復を予測するためには、間震期における断層帯の水理特性の変動把握が重要であることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
地殻内部の断層に沿って、水は普遍的に流れている。このような水の流れは、地球深部からの物質循環を考察する上で重要であり、地球化学・水理学的な研究が盛んになされている。一方、水圧が断層に及ぼす力学的作用については古くから研究があるが、動的な水の流れそのものが断層の力学に及ぼす影響は全く検討されてこなかった。本研究によって、水の流速変化が断層帯の間隙水圧を変動させ、断層の強度回復過程に影響を及ぼすことが明らかとなった。自然界の地震断層の強度回復プロセスを探るためには、今後、地震サイクルにおける断層帯水理特性の変遷を調べる必要がある。
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