研究課題/領域番号 |
19K21909
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
荒木 英一郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震津波予測研究開発センター), グループリーダー (60359130)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 海底地震観測 / 稠密アレイ観測 / ゆっくり地震 / 超小型海底地震計 / 海底光通信 / シングルボード地震計 / 海底地震観測装置 |
研究開始時の研究の概要 |
海域ではプレート沈み込みに伴いスロー地震が発生していることが知られてきたが、この発生要因は、発生場所とそのメカニズムを十分な解像度で解析できる海底地震観測データがないため明らかでない。そこで、無人探査機で多数の海底地震観測装置(OBS)を海底に運搬、設置、回収する新しい観測のモデルに基づき、近接稠密アレイ観測を計画し得る超小型・軽量・ローコストなOBSに必要となる技術を開発する。そのため、3Dプリンター等を用いた新しい構造の筐体・地震計センサーの自動化製作と耐久性試験、可視光通信機能を備えた地震計処理系の設計試作、試作機の陸上試験観測および無人探査機を用いた実海域試験観測を行う。
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研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、過年度に試作を行った地震計処理系をパッケージングし、神岡鉱山での地震計としての観測能力の試験を実施し、最終的に実海域での海底地震観測を行い、海底での観測時刻の同期やデータの海底での可視光通信による伝送実証試験を行うことを目指した。 そのために、まず、試作地震計処理系を3成分のジオフォンと組み合わせ、過年度に調達した可視光をよく透過する13インチ耐圧ガラス球3台にパッケージングを行い、海底面と十分なカップリングを確保して良好な海底地震記録を収録しつつ、海底面に配置した複数の海底地震計の間の可視光通信を可能とするような開口部を持つハードハット内に収納した。 製作した海底地震計を、実験室において試験を行い、海底地震計間の光通信試験を行ったところ、光通信光の受光感度の調整範囲が狭く、環境光がある場合に通信が行えないことが判明した。実海域試験では、無人探査機の潜航中に海底地震計間や海底地震計との通信試験を行う予定であるため、環境光がある場合に通信が行えないことは問題である。そのため、光通信機構の再設計・製作が必要と判断した。当初予定した、神岡鉱山の試験についても、新型コロナ蔓延防止のため、神岡鉱山での外部訪問者の受け入れに制限があり、予定した海域試験航海の前に想定した時期の神岡鉱山内での実施が困難であった、それらの事情から、海域試験の方法の検討は実施したものの、予定した船舶による実海域試験に試験済みの海底地震計を持ち込むことを断念し、翌年度の実施に持ち越すこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナの蔓延防止のため、昨年度に引き続き陸上試験を予定していた神岡鉱山への立ち入りも制限されていたことから、陸上試験を適切な時期に実施できなかった、また、陸上試験の代わりに実験室での試験を行った結果、超小型地震計間の光通信機構に問題があり、改良設計製作が必要であると判明したこともあり、改良設計製作後、機器の組み込み、陸上試験を行って動作確認を行ったのちに実施することとしていた実海域試験の本年度中の実施を断念した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、海底での超小型海底地震計アレイによる試験観測の実施・データ取得を目指し、海底地震計間の光通信機構の設計変更・製作を行うとともに、既開発製作済みの観測基板とともに耐圧容器内への組み込み、作動確認を実験室で実施する。その後、神岡鉱山等の陸上試験環境での試験観測を行い、次年度後半に南海トラフ海底でのDONET等海底観測点付近での短期間の実海域試験観測を行い、実海底観測データの収集を行う予定である。
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