研究課題/領域番号 |
19K21929
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分19:流体工学、熱工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
児玉 高志 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (10548522)
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研究分担者 |
志賀 拓麿 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (10730088)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | ナノスケール伝熱 / 一分子測定 / ナノ/マイクロ加工 / DNA / セルロースナノファイバー / 一分子熱伝導測定 / バイオ伝熱 / 断熱材 / 熱拡散材料 / タンパク質 / 生体高分子 / 生体材料 / マイクロ・ナノ加工 / フォノンエンジニアリング |
研究開始時の研究の概要 |
DNAは4種類の異なる塩基を持った共有結合性の直鎖擬一次元材料であり、分子レベルでの周期性の導入など配列制御によってフォノン分散を柔軟に変化させることができることから、フォノンエンジニアリングの実証に最適なナノ構造材料であると考えられる。本研究では、2つの対称な自立膜構造を有する測定デバイスを用いた独自のナノスケール熱伝導計測技術を駆使して、様々な配列や周期性を有するDNAの単一分子レベルの熱伝導率評価を実践し、分子シミュレーションとの融合により実験結果を説明するための適切な理論モデルの構築を行い、DNAの熱伝導性の学理解明と熱伝導制御に挑戦する。
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研究成果の概要 |
DNAに代表される生体由来の共有結合性擬一次元材料は、分子レベルで配列制御が可能であることから、その熱伝導性に注目が集まっている。本研究では、マイクロデバイス定常法とブリッジ回路を組み合わせた超高感度熱測定法を利用し、低熱伝導材料の熱伝導率の定量を試みた。分子長の比較的長いホヤ由来のセルロースナノファイバーを実験試料として選定し、測定を行った結果、常温でファイバー1本の熱伝導率は約2.2 W/m/Kであること、サイズ効果により熱伝導率が抑制されていることなど、生体由来の直鎖材料1本の熱伝導性を初めて実証することに成功した。今後、同手法を適用することで様々な生体材料への応用に展開する予定である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究はDNAに代表される生体材料の熱伝導性を単一分子レベルで明らかにし、生体材料の潜在性について明らかにすることを目的としている。DNAやたんぱく質などの生体由来の直鎖材料は、分子レベルで配列制御が可能な点からフォノンエンジニアリングにおいて極めて注目すべき材料であり、優れた熱伝導性や機械的性質を有している場合にはフレキシブル熱拡散材や断熱材などの工学応用も期待されている。しかし単一分子の熱伝導率測定の技術的障壁の高さから、これまで研究例は報告されておらず、本研究で実証したセルロースナノファイバー1本の熱伝導測定は、学術的、および工学的な観点から極めて意義の高い研究成果であるといえる。
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