研究課題
挑戦的研究(萌芽)
人間支援の要求が急速に高まっている医療・福祉分野で,「柔らかさ」と「曲げ」などへの適応性を限りなく追究した人型ロボットの実用化が期待されている.しかし,従来のモーターを使う「硬い」アクチュエータ機構の概念は全く利用できない.新たな動力源としてポリマー材料の伸縮動作による人工筋肉が実現できれば,低消費電力で発生するジュール熱で動作し,柔軟,機械駆動装置を必要としないため静音で,大きく伸縮し,軽量で高い出力を同時に兼ね備えることが可能になる.やわらかなポリマーと電気・熱などの外部刺激をどのように複合化するかなど設計・作製について体系的に研究を進める.
カーボンナノチューブ(CNT)ウエブに電流を印加して発生するジュール熱を使い,エラストマー糸を伸縮させる人工筋肉の実現には,これまでに培ってきた「硬い」アクチュエータ機構の概念は利用できない.このため,やわらかなエラストマーと電気・熱などの外部刺激をどのように複合化するかなど設計・作製について研究を行った.CNTの弾性率がエラストマーに比べ大きく,このためエラストマー糸の延伸が妨げられ,伸縮動作が十分に発揮できない問題が明らかになった.このため,CNTウエブをエラストマー糸に巻き付ける方法を提案し,その作製条件の最適化することで,生体筋やナイロン6,6糸に比べて大きな発生力を実現した.
本研究は,カーボンナノチューブ(CNT)ウエブをエラストマー糸に巻き付ける方法で複合化した人工筋肉の実現を目指している.大きな変位と高出力を実現する複合構造を検討し,ベンチマークとなる生体筋やナイロン6,6(ポリマー糸)に比べて大きな発生力を実現した.CNTウエブに電流を印加し発生するジュール熱で,細いエラストマー糸が伸長収縮動作する新たな動力源となり,柔軟,機械駆動装置や金属を使うこと無く大きく伸縮し,軽量で高い出力を同時実現できる.柔らかさと曲げなど適応性を限りなく追究した人型ロボットの要素技術の確立につながり,ロボットやパワーアシストスーツなどによる人間支援の要求に資する技術である.
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Molecules
巻: 25 号: 5 ページ: 1144-1144
10.3390/molecules25051144
120006847418
ACS Applied Energy Materials
巻: 2 号: 10 ページ: 7700-7708
10.1021/acsaem.9b01736