研究課題/領域番号 |
19K21996
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分22:土木工学およびその関連分野
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
渡辺 幸三 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (80634435)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | ゲノム / 適応遺伝子 / 次世代シークエンシング / 遺伝的多様性 / 河川 / 気候変動 / 次世代シーケンシング |
研究開始時の研究の概要 |
気候変動に伴う温暖化や異常気象は,流域内の河川底生動物の遺伝的多様性(同種個体間の遺伝的変異)を劣化させる可能性がある。本研究は,気候変動下の水温・流速等の流域環境の変化への適応進化を予測するモデルを開発する。膨大なゲノムから環境選択を受けている遺伝子を次世代シークエンシング解析を活用して迅速に検索し,これら環境選択性遺伝子と環境変数の関係を定量的に結びつける機械学習モデルを開発する。そして,このモデルを全球気候モデルとカップリングすることにより,気候変動下の遺伝子型や遺伝的多様性の空間分布を予測する。
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研究成果の概要 |
本研究は気候変動に伴う流域内の環境勾配の変化に伴う適応的な遺伝子頻度の変化を表現する手法を構築した.河川水生昆虫7種を対象にして、温暖化に関連する環境因子(水温・降水量等)の影響を受ける環境選択性遺伝子座をゲノムから検索し,それらの配列型を環境変数から予測する適応進化モデルを開発した。そして、気候変動シナリオ下の流域スケールの環境変数の空間分布を導き,上記適応進化モデルとのガップリングにより,将来の遺伝子型と遺伝的多様性の空間分布を予測した。その結果、適応的進化を考慮すると、生息域の縮小が必ずしも遺伝的多様性を劣化させるとは限らないことが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来の気候変動下の遺伝的多様性の予測は,中立進化(環境選択を受けない)を前提としているが,現実には,例えば低水温に適応した遺伝子型は温暖化が起きれば,水温が低い高標高・高緯度地域に避難して存続できる可能性がある。しかし,従来法では中立遺伝子座が解析されてきたため,環境勾配に沿った遺伝子の「避難現象」を再現できず,遺伝的多様性の低下を過剰に予測する可能性が懸念される。本研究は、ゲノム上の環境選択性遺伝子に着目して,気候変動下における環境勾配に沿った遺伝子型の移動(避難)も考慮した上で,遺伝的多様性をより正確に予測するモデルを開発した点で高い学術的意義がある。
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