研究課題/領域番号 |
19K22069
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 (2022) 東京農業大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
田口 精一 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 特命教授 (70216828)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | バイオポリマー / バイオプラスチック / 立体化学特異性 / 鏡像異性体 / CoA転移酵素 / 重合酵素 / PHA / 3HB / 立体化学 / キラリティー / 基質特異性 / 微生物重合 / ポリマー / キラリティ ー / ポリマー材料 |
研究開始時の研究の概要 |
化学重合研究において、光学活性モノマーの立体化学を精密制御できる触媒を開発し光学純度の高いポリマーを合成することは、基礎・応用の両面において重要な課題である。一方、微生物産生ポリマーであるP(3HB)は、(R)体モノマーからなる超高光学純度ポリマーであり、細胞システム(関連酵素群の厳密な立体認識選択性)の特質が生かされている。「本来(R)体モノマーにしか反応選択性を示さない重合酵素を、(S)体モノマーを認識しポリマー鎖内に取り込めるように人工的に改変できないか?」というのが、本研究の中心課題である。この研究を通じて得られることは、重合酵素の基質認識を立体化学の視点から明らかにできることにある。
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研究成果の概要 |
生分解性ポリマーP(3HB)は、3-hydroxybutyrate(3HB)から成り、(R)-3HB-CoAモノマーを前駆体として、重合酵素により合成され、100%eeのR体から構成される。CoA転移酵素(PCT)の緩慢な立体化学選択性に基づき、PCT搭載大腸菌をベースに「S体」の3HB-CoAが合成可能な培養条件を最適化し、(S)体の3HB-CoAに対しても反応性を示すことが判明した。重合反応においては、脂肪族モノマーの主鎖基準で3位水酸基から2位水酸基に重合反応性が拡張された変異酵素だと、厳密な立体化学選択性が緩慢になり、鏡像異性モノマーCoA体に反応性を獲得した可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
高分子材料における光学純度は、物性を規定する重要な要因である。生分解性プラスチック素材であるバイオポリマーPHAも同様である。PHAの微生物重合系では、関わる酵素の立体化学認識により、(R)体モノマーから成る高光学純度ポリマーが合成される。本研究では、立体化学反転した(S)体モノマー3HBから成るポリマーの微生物合成に挑戦した。本取り組みは、国内外を問わず全く新規のチャレンジであり、独創性に富んでいる。本研究により、モノマー及びポリマーの合成において、この難度の高いハードルを突破できる基礎的な可能性を得ることができた。本知見は、微生物重合に新しい視点とポリマー材料を提供できる点で意義がある。
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