研究課題/領域番号 |
19K22070
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
幸塚 広光 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (80178219)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 薄膜 / 応力 / 湿度 / 吸着 / 吸収 / デバイス / 緩和 / ゾル-ゲル法 / ガラス薄膜 / セラミック薄膜 / 残留応力 / コーティング / シリカ薄膜 / セリア薄膜 / チタニア薄膜 / 酸化物 / セラミック / ガラス / 応力緩和 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は最近、単結晶シリコン基板上に作製した数百nm厚の酸化物セラミック薄膜の面内残留応力が室温で時間とともに減少することを見出した。セラミック・ガラス材料室温での応力緩和は、材料科学にとって未知の現象であり、メカニズムの解明によってセラミック材料の脆性を克服する方法が見つかる可能性もある。本研究では、この未知の現象を学術的に理解すべく、諸因子が応力緩和挙動に及ぼす影響を実験的に検討する。
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研究成果の概要 |
ゾル-ゲル法によりSi(100)ウェハ上に作製し、600~1000℃で焼成して作製されるチタニア結晶薄膜、セリア結晶薄膜、シリカガラス薄膜の面内引張残留応力ならびに基板のソリが、室温での静置過程で時間とともに減少することを見出した。すなわち、このような高い温度で焼成して安定と見なされる酸化物薄膜においてさえ、残留応力と基板のソリが時間に対して安定でないことを、実験的に示した。この原因を明らかにすべく加えた結果、大気中の水の吸着ないし吸収により膜が膨張することが原因であることがわかった。ただし、シリカ膜においては、水の吸収による構造緩和を原因の一部として排除できないことも明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
酸化物薄膜は、光学・電気・磁気にかかわるデバイスとしてさまざまな分野で応用される機能材料である。一方、薄膜の内部応力は、デバイス特性を支える薄膜物性に影響を与え、基板のソリはデバイスの寸法精度にかかわる。本研究は、薄膜デバイスの特性と寸法精度が、室温で安定であるわけではなく、分子の吸着・吸収の影響を受けうることを実験的に示したものであり、薄膜デバイスに関わる技術界に新しい知見を与え、かつ、安定性に優れるとされる酸化物焼成薄膜においても応力に不安定性があることを見出した点で、学術的意義をもつ。
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