研究課題/領域番号 |
19K22081
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分27:化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田辺 克明 京都大学, 工学研究科, 准教授 (60548650)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 水素 / 金属 / エネルギー / 核融合反応 / 表面化学 / 水素貯蔵 / 核融合 / 元素変換 / プラズモニクス |
研究開始時の研究の概要 |
震災による原発事故を受け、代替エネルギー源と放射能除去技術の開発は急務である。本研究では、金属中における凝縮系核融合に着目し、クリーンかつ無尽蔵なエネルギー生成・発電・元素変換法となる新規反応系を創出する。まず、金属ナノ構造体の活用により、極めて高密度な重水素燃料の充填状態を実現する。続いて、レーザ光、および、プラズモニック集光技術の導入により、核反応確率を飛躍的に向上させ、コンパクトかつ高効率な核融合発電装置の実現に結び付ける。さらに、核反応に伴う元素変換の可能性についても検討を行う。
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研究実績の概要 |
重水素を吸蔵させたパラジウムにおいて観測される異常発熱反応について,電磁場増強効果のある金属ナノ粒子を利用し,反応確率および実験再現性の向上を試みた.まず,金属ナノ粒子間の電磁場増強度の理論計算により,最適な条件の検討を行った.その結果,最適な粒子間距離や外部電場の波長および偏光の把握とともに,金属の種類によるピーク強度・波長の違いなど新たな知見を得た.そして,異常反応について多角的な分析を行い,過剰発熱,中性子線強度ピーク,質量数3の分圧の上昇などを観測し,本系が新規の熱源として今後の検討に値するものであることを示した. 中性子線の発生について,いくつかの実験ではガス比例計数管により中性子線の強度ピークを観測した.さらに液体シンチレータを利用して中性子線の個数やエネルギー帯など詳細な測定を行った.液体シンチレータではD2の吸蔵あり/なしで有意な差は見られなかったが,DD核融合反応で発生する2.5 MeVの中性子に着目すると8時間の測定では2つの実験で差が見られたが,温度が急激に上昇したタイミングでは有意な差は見られず,特定のタイミングでDD反応が起こったという確固たる証拠は得られなかった. 質量分析結果について,実験中は常に真空引きしているため,圧力が放出速度に強く相関していると考えることができる.試料温度が急激に上昇し,D2の放出速度が上昇したことから何らかのエネルギーが発生した可能性,質量数3の分圧上昇から3Heの生成の可能性が考えられる.しかし,HD(重水素化水素)の割合が増加しただけの可能性も考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染防止対応のため当初の予定通りに研究活動を進めることができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究においては,再現性の更なる向上は必須課題である。今後の方針として,再現性の向上のため,最適な温度や照射するレーザーの種類,電流の向きといった反応条件の最適化を行う。また,Pd 試料に様々な種類の金属ナノ粒子を様々な塗布条件で担持させ,通電加熱実験を行う。また,中性子の個数やエネルギー帯を測定できる液体シンチレータを導入した通電加熱実験を今後も行い,比例計数管と液体シンチレータのダブルチェックを行うことで,中性子線がPd 試料から実際に発生しているのか検討する必要がある。核融合反応で生じる中性子線のエネルギー帯と本実験で生じる中性子線のエネルギー帯を比較することで,核融合反応であるかの検討が可能である。同様にガンマ線を測定できるGanma-Scout を導入した通電加熱実験を行うことも重要であると考える。
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