研究課題/領域番号 |
19K22103
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分28:ナノマイクロ科学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田川 美穂 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (40512330)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | DNA / コロイド結晶成長 / X線小角散乱 / 自己集合 / 自己組織化 / ナノ粒子 / 多孔構造 / コロイド結晶 / 結晶 / 構造解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、タンパク質立体構造解析の簡便化に向けたタンパク分子規則配列化のためのDNA規則的多孔構造(DNA結晶スポンジ)の創製を目的とする。これにより、従来のタンパク質立体構造解析においてボトルネックとなっている網羅的実験が必要な「タンパク結晶化」を介することなく立体構造解析を可能にするための新手法の開発を目指す。従来のDNAナノ構造体設計法(DNAタイル、DNAオリガミ)とは異なる「DNA修飾ナノ粒子超格子(DNA-NP)の結晶化機構を模した設計法」でDNA結晶スポンジを実現する狙いである。
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研究実績の概要 |
本研究では、タンパク分子を簡便に規則配列させるためのDNA結晶スポンジ(DNA規則的多孔構造)をデザインし、作製している。昨年に引き続き、DNA修飾ナノ粒子結晶を用いて、スポンジ機能を持つ結晶作製に取り組んだ。タンパク分子などのゲスト分子の取り込み効率を向上させるため、格子定数が大きい結晶作製にこれまで取り組んできたが、2022年度はDNA配列及び結晶化溶液の組成等の結晶成長条件を最適化することにより、結晶内のタンパク分子取り込みサイト(空隙)の大きさを約73nm程度まで大きくすることに成功した。 また、封入したい分子と相互作用を持つ部位を予め結晶内に導入しておくことで、溶液内で混合するだけでゲスト分子を取り込めることを示した。具体的には、予めビオチン分子を修飾した合成DNAを用いてDNAナノ粒子結晶を作製することで、ストレプトアビジン-ビオチン相互作用により、ストレプトアビジン分子を封入することに成功した。その他、作製した結晶に細胞内でゲノム編集を行うCas9タンパクを封入することにも成功した。 DNAナノ粒子結晶を高品質に作製するためには、混合する分子の当量比が非常に重要であるが、DNA低吸着チューブやチップ等、DNA実験関連の消耗品の欠品が長期にわたり発生しており、代替品を使用しなければならない状況であったが、実験手法を工夫することにより成果をあげ、論文発表(Soft Matter, 18, 6954-6964, 2022)も行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DNA実験関連の消耗品の欠品が長期にわたり続いており、代替品を利用する他方法がなかったが、実験プロトコルの変更及び研究計画の変更等により柔軟に対応し、成果をあげられたため。
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今後の研究の推進方策 |
DNAナノ粒子結晶と封入したいゲスト分子間に様々な相互作用を持たせることで、様々な分子を封入できることを示してきた。今後は、結晶サイズが決まればゲスト分子封入のための空隙の数も決まるという結晶の特性を生かし、封入分子の分子量を見積もることができる技術を目指す。更に、オイルの中に生成した結晶化溶液の液滴内で結晶化を行うことで、結晶サイズを制御することに取り組む。ゲスト分子の封入効率を上げて、更に結晶サイズの制御も可能となれば、封入分子の分子量もより正確に見積もることができるようになる。
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